□A New DayF
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あれから3週間。

ユフィとクラウドは、一度も話す事はなかった。

もちろん、昼食だって一緒に食べてはいない。

数学の授業に至っては、ユフィは以前のように寝ていた。

…というより、寝たフリをしていた。

そんなユフィを心配そうに見守るティファだが、当の本人は『何にもないよー』の一点張り。

あの出来事を、ユフィはティファに話してはいなかったのだ。





今日は終業式。

通知表を貰い、今日の部活も終え、いざ、夏休み!

いつもなら、部活に遊びに張り切るユフィだが、今回はそうもいかないようだ。

「ユフィ、明後日から大会でしょ?大丈夫?」

「なーに言ってんの。あたしはいつも通りだって!」

「ユフィ…」

小学校からの付き合いだ。

ユフィの異変ぐらい、すぐに分かる。

「ごめんユフィ、先に帰ってて」

「へ?うん」

手を振り、ティファは走って校舎へと戻っていった。








(そろそろ帰るか…)

腕時計をちら、と見ると、5時を回っていた。

クラウドは荷物をまとめ、椅子から立ち上がると他の教師に一礼して職員室を出た。

(あれは…)

廊下を歩いていると、ふと見えた人影。

ティファだ。

クラウドの前で歩くのを止め、ティファは相手を見つめた。

「…明後日…」

「え…」

「明後日、あの子…大会なんです。見に行くだけでもいいから…お願いします」

ぺこ、と軽く頭を下げるティファ。

クラウドは何も言わず、ティファの言葉を聞いた。

「…あんなユフィ、見てられない」

それだけ言うと、ティファは踵を返してクラウドの前からいなくなった。

(俺は…)

自分だって、彼女にあんな顔をさせたい訳じゃない。

廊下ですれ違う度に俯き、視線すら合わせようとしない。

この3週間で、自分は何を思ったか。

クラウドに本当の気持ちに気付かせてくれた期間だった。
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