□A New DayG
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シード校であるウータイ高等学校の1回戦、結果は大勝。

そのほとんどが、エースであるユフィが決めた得点だった。

今日絶好調のユフィを、相手チームは誰も止める事はできなかった。

「ユフィ!今日絶好調じゃない。何かあった?」

控室まで戻る途中、キャプテンに声を掛けられ、ユフィはタオルで汗を拭きながら振り向く。

「何でもないですよー」

と言いながらも、

(単純だなー、あたし)

と思ってしまう。

頑張れたのは、アイツが見ていてくれたから。

クラウド。

キャプテンが先に控室に向かうと、ユフィは自分の唇にそっと触れた。

(キス、したんだ…)

人生で初めての、キス。

思いがけない、クラウドからの不意打ちの…。

思い出すだけで、顔が真っ赤になる。

首をぶんぶんと横に振り、ユフィは控室へと歩いた。

「お疲れ様」

「へ?」

後ろから声を掛けられ、振り向くと親友であるティファがいた。

「ティファ!」

「今日凄かったじゃない。あの人のお陰?」

「っ、へへ…」

「あと、はい」

ポケットから出した、1枚の紙。

それをユフィに渡すと、彼女は首を傾げた。

「あの人から。終わったら連絡しろって伝えてほしいって」

カサ、と紙切れを広げると、書いてあったのはクラウドの携帯番号とアドレス。

「で、付き合う事になったんでしょ?」

「な、何で知ってんの!?」

驚きの表情を隠せないユフィに近付くと、ティファはくす、と笑った。

「秘密」

「えー!」

「だって、何か悔しいんだよ」

「悔しい?」

「うん」

ユフィが、取られてしまったような気がして。

ずっと一緒にいたのに、これからはそうもいかないと思うと。

けれど。

「うーん、やっぱり嬉しい、かな?」

「ティファ、さっきから何言ってんの?」

「ふふ、なーいしょ。じゃあ、この先の試合もちゃんと見に来るね」

「うん、ありがと!」

互いに手を振り、ユフィは控室へと走っていった。

(もー、相変わらず可愛いんだから)

そんな事を思いながら、ティファもまた帰路についた。
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