□A New DayI
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ウータイ高等学校女子バスケットボール部。

全国大会は毎年のように出場したものの、今年は一回戦で惜しくも敗戦してしまった。

結果3年生は部活を引退し、次のキャプテンは満場一致でユフィとなった。

実力もあり、部員全員からの人気者でもあるユフィ。

誰も文句を言う人はいなかった。

そして、今は8月中旬。

ユフィは久々に親友であるティファとファミレスに来ていた。



「ユフィ」

「ん?」

「ユフィ達、どこまでいってるの?」

「ぶっ…!」

思わず、飲んでいたジュースを吹きそうになる。

ニヤニヤしながら聞いてくるティファ。

…楽しんでいるようにしか見えない。

「ど、どこまでって?」

「またまたぁ、はぐらかさないでよ〜」

「…………で…」

「え?」

「…まだ、キスまで…」

俯きながら、真っ赤な顔で氷をストローで遊ぶユフィ。

その姿は。

女であるティファから見ても可愛かった。

…まぁ、ティファから見ればユフィはいつでも可愛いのだろうけれど。

そんなユフィを見て、ティファはさらに笑みを深くした。

「大事にされてるね、ユフィ」

「へ?」

「んーん、何でもない」

言いながら、ユフィの頭をよしよしと撫でてやる。

クラウドに大切にされていると知り、ティファはふふ、と優しく微笑むのだった。











ティファと別れ、時間は夕方。

ユフィはクラウドと待ち合わせ、いつものようにスーパーへとやって来た。

「クラウド、あと何か必要なのある?」

「いや、大丈夫だ」

「はーい」

2人が付き合うようになって約1ヶ月。

『クラウド』と呼ぶのにも慣れ、ユフィと共に食事をするのも日常の一部となった。

今日もいつものようにスーパーで買い物をし、会計を済ませてクラウドが荷物を持ち、外に出た。

「あーあ、夏休みもあと2週間かぁ」

「部活一色だったからな」

「うん、そろそろ進路も決めなきゃだし」

「進路、か…どうするつもりなんだ?」

クラウドの言葉に、ユフィは手を後頭部で組んで夕暮れの空を見上げる。

「もちろん、就職。親父ばっかに頼るわけにもいかないしさ。……それに…」

「それに?」

「な、何でもない!」

微かに顔を赤く染め、ぷいっとクラウドから視線を逸らす。

『早くクラウドと対等な立場になりたい』なんて。

恥ずかしくて言えるはずもなかった。
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