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□A New DayP
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「クラウド!次あれ!」
「これ乗りたい!」
「クラウドー!早く!」
次から次へとアトラクションに移動するユフィ。
(…好きなだけ楽しめ、とは確かに言ったが…)
だが、子供のようにはしゃぐユフィを見ていると自然と顔が緩んでしまう。
自分が歩く先で、ユフィが何やら屋台をじいっと眺めて立ち止まっていた。
ゆっくりと近付き後ろから覗き込むと、彼女が見ていたのはこの遊園地限定のマスコットのストラップ。
猫のように見えるが、…あまり可愛くはない。というのが本音だ。
だが、ユフィはクラウドの存在には全く気付かず、そのストラップを熱い視線で見つめていた。
「それ、欲しいのか?」
「わあっ!」
突然聞こえた声に、ユフィは大きく体を跳ねらせて振り向く。
「びっくりしたなぁ、もー…」
「悪い。で、それがいいのか?」
「ち、違っ…!」
真っ赤な顔で反論するユフィだが、やはり嘘の付けない彼女。
クラウドはそのストラップの赤を取り、店員へと渡した。
「はい、500ギルねー」
「ちょ、クラウド…!」
ユフィが制止しようとするのを無視し、財布からギルを出して店員に払うと、受け取ったストラップをユフィの手の平に乗せる。
「ほら」
「っ、…ありが、と…」
「どういたしまして」
真っ赤な顔で、しかし嬉しそうに礼を言うユフィに、クラウドは目を細めて見つめた。
だが、今度はユフィが同じストラップの色違いの青を手に取った。
「ユフィ?」
「おじさん、これも!」
自身の財布からギルを出し、店員に渡すとユフィはその色違いの青いストラップをクラウドへと渡す。
「…まさか、俺がこれを?」
「うん!…一緒のやつ、一つぐらい欲しいじゃん…」
ぽつり、と呟いた言葉にクラウドは小さく溜め息をつき、ポケットから何も付いていない携帯を取り出してユフィに渡されたストラップを付けた。
「これでいいのか?」
「クラウド…、ありがと!」
満面の笑みを向け、ユフィも自分の携帯にお揃いのストラップを取り付ける。
それを軽く空に掲げ、「へへ…」と微かに笑うユフィは…。
(…そんな無防備な顔しないでくれ)
抱き締めたく、なってくる。