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□君といる時間〜君想〜
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始めは、なんて煩い奴なんだと思った。
言葉遣いも悪い。無鉄砲。女らしい所なんて一つも見付からなかった。
エアリスが俺の前からいなくなってしまってから、アイシクルロッジで宿に泊まった時、俺はなかなか眠れなくて夜風を当たりに外へ出た。
ふと見ればユフィが疼くまっていた。
…いつもあんなに煩いぐらい元気なユフィが泣いている。
俺はユフィに気付かれないように宿へと戻った。
…、今度はさっきとは違う理由で眠れなかったが…。
それからというもの、俺は気が付けばアイツを目で追っていた…。
元気なのも、本当は強がりなんじゃないかっていつも心配になる。
だけど…アイツのその明るさに俺はいつも助けられていた。そして、心地良くなっていた。
ティファに『クラウド、自分で気が付いてないの?』と言われた時は始めは意味が分からなかった。しばらくしてから。その言葉の意味がやっと理解できたような気がする。
ユフィを好きになってもいいのだろうか…。
自分の中にはまだ吹っ切れていないエアリスがいるというのに。
こんな不純な気持ちでアイツを好きになっても傷付けるだけだ…。そう思ってこの気持ちを無くそうと必死だった。
セフィロスとの戦いが終わってからティファに『好きだ』と告げられた。
ティファには申し訳なかったな…。でも、ティファは『いい加減素直になったら?あなたもあの子も』と笑顔で言った。
…その時だった。自分に嘘が付けなくなったのは。
いつまでもエアリスの影を引きずっている訳にもいかない。
罪は許されないけれど。
でも、俺は…。
アイツが好きだ。
やっと、言える気がする。だが、こんな自分は初めてだった。たった一人の子供にこんなに簡単に心を揺さぶられるなんて。
そんな事を思った時だった。
ある日、急にアイツから電話があった。何かと思って出てみたら。
今度みんなで集まるから来るようにという事だった。その時はそっけなく返事をしておいた。…が、アイツは毎日決まった時間に同じ内容の事を話してくる。
正直、途中からは『いい加減にしろ』と言おうかと思ったが、俺はアイツの声を聞けるだけで良かったんだ。携帯から聞こえてくる明るい声に柄にもなく笑みを零してしまう。
そして、久々に顔を合わせた昨日。
俺は自分の気持ちに素直になってからアイツと初めて会った。そのせいか、まともに顔を合わせる事ができない。