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□君といる時間〜相思〜
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「…2人1組勝ち抜き戦…?」
バトルスクエアに着き、あたし達は受付横に貼ってあるイベントのチラシを見ていた。
「そ。で、優勝すると賞金30万ギルがもらえるんだよ!」
「お前、それが目的か」
ま、それもあるけどさ。ホントの理由は、クラウドに楽しんでもらいたかったから。旅の時でもクラウド、このバトルスクエアで戦ってる時は凄く楽しそうで生き生きしてた。
だからさ、思い切り今日は楽しんでよ。
「ま、いーじゃんいーじゃん。ほら、受付」
あたし達は受付を済ませ、控室で出番を待った。
「あー、なんか楽しみだな」
あたしはワクワクしながら周りの挑戦者達を見る。
すると、一人の体格のいい男と目が合い、一緒にいたもう一人の男とドカドカとこっちへ寄ってきた。
あたし達はソイツを無視して装備品の手入れをする。
「あんたらか?クラウド組ってのは」
「…………」
クラウドは、相変わらず目を合わせようとはせずに手入れを続ける。あたしははぁ、と溜め息をつき、ソイツを睨み付けた。
「そうだけど?」
「そいつぁいいや。一回戦の相手がお前達なら楽できそうだな」
ハハハッ、とソイツの笑い声が控室内に響く。
「女連れてこんな危ない大会に出るなんてどうかしてると思うぜ?そこのカッコイイお兄さん?」
「…ユフィ」
「え?」
低い声であたしを呼ぶクラウド。あたしはこの男への怒りが収まらないままクラウドを見る。
「…一回戦はユフィ一人で充分だな?」
「当っったり前だろ?クラウドは後ろから見ててよ」
あたしのその言葉にクラウドがふ、と軽く笑う。
「そーいう事だからさ、あたし一人であんたらやってやるよ」
「そりゃーいいや。楽しみにしてるぜ、お嬢さん」
2人組があたし達の前から去ると、クラウドが剣の手入れを終え、静かに納めた。
「クラウドさぁ、愛想悪いからあんなのに目付けられるんだよ」
「俺のせいじゃないだろう」
「でもさ、ほら、ちょっと笑ってみてよ」
あたしは横で座っているクラウドの頬を人差し指でつんつんと突いた。
「…無理だ」
「だよねぇ…でもあたし知ってるもんね」
「何を」
あたしはクラウドの頬から手を離し、再び座って背を壁に預けた。