□好敵手(※)
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この話は、当サイトメインである連載小説『君といる時間』の背景をベースに書いています。
話が分からない方は、まずそちらからご覧頂くと分かりやすいと思います。時期としては、ユフィが熱を出した後辺りですね。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「あれ?何だろ、これ…」

夏も終わりに近付いた9月某日。

クラウドとユフィは2人で食材等を買いにエッジの街中へ来ていた。

ふと、何気なく路地裏を覗けば、見知らぬマテリアがぽつん、と転がり落ちている。

今まで見た事のない、金色に輝くマテリア。

コマンドマテリア…?とも思ったが、どこか違う。

ユフィはそれを拾い、クラウドと共に眺めた。

「見た事のないマテリアだな」

「ね。どーする?」

「…一応持って帰るか」

「その言葉、待ってましたー!」

ひゃっほー!とはしゃぐユフィの頭をぽんと叩く。

「俺が何を言ったとしてもどうせ持って帰っただろう」

「さっすがクラウド!全てのマテリアはこのユフィちゃんの物だもんね!」

嬉しそうにマテリアを掲げる彼女を、クラウドは目を細めて見つめていた。





アパートに戻り、夕食を終えた2人はリビングのソファに座り、ユフィは再び先程のマテリアを眺めていた。

「うーーーん…」

「まだ考えてるのか」

「だってさ、こんなマテリア初めてだから…」

「発動条件が分からないからどうしようもない。それより…」

「へ?」

ユフィからマテリアを奪い取りテーブルへ置くと、彼女の肩を軽く押してソファに押し倒す。

「ちょ、クラウド…?」

「最近仕事が忙しくてしてなかったから」

顔を近付け、首筋にちゅ、と口付けてユフィの服に手をかけた。

「んっ、待っ…!」

「待てない」

こうなってしまえば、もうクラウドにされるがまま。

…のはずだったが。

パキッ

「っ、クラウドっ…」

音に気付いたユフィがクラウドの胸板を押すが、本人は気にも留めず服を脱がそうとする。

パキッ…パキ…

「何だ…?」

さすがにクラウドも気になり、音がしているマテリアへと視線を移した。

「や、何…!?」

マテリアが眩しい程に輝きを放ち、2人は目をぎゅっと閉じる。

「……?」

光が治まり、そっと目を開ければそこにはマテリアはなく…。

「お姉ちゃん達、誰?」

「「は…?」」

代わりにいたのは、テーブルの上にちょこんと座った、6歳くらいの幼い少年。

(…誰かに似てるような…)

鮮やかな金髪、顔立ち。

少し高いが、声色。

ちら、と隣に座るクラウドを見れば…。

(…そっくり…)

でも、どうしてこんな事に…。

ユフィは少年に近付き、目線を合わせた。

「えっと、名前は?」

「クラウド…ストライフ…」

「!?」

声にならない驚き方をしたのは、クラウド。…大人の。

ユフィは「やっぱり…」と一度息を吐き、再び幼いクラウドに視線を移した。

「じゃ、クラウド君は何でここに?」

「?…わかんない」

しゅん…と寂しそうに俯く幼いクラウドは…。

(かわいー…)

ほわん、と自然にユフィの表情も緩くなってしまう。

「…お前、本当にクラウド・ストライフなのか?」

やっと、口を開いたクラウド(大人)もユフィの隣でじっと幼い自分を見つめる。

「うん。…お兄ちゃん、僕にそっくりだね」

(確かに…俺、だな)

似ているというだけで根拠はないが、2人はこの少年が『幼い頃のクラウド』と確信していた。
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