□君といる時間〜逢瀬〜
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もう夜になっていた為、ユフィ達は定期便の船で一夜を過ごした。

そして、翌朝着いたのは…。

「半年ぶりかぁ…」

あの時と変わらない、エッジ。

変わってる所があるとすれば…

街中に、星痕症候群に侵された人達が大勢いる事。

「おねーちゃん、ここに住んでたの?ウータイじゃないの?」

「…あたしの一番大切な人とね、住んでたんだよ」

「大切な、人?」

「…うん、何よりも、誰よりも大切な人」

「へー!会いたいな」

リクの言葉に、ユフィは笑顔を向けた。

「今からね、その人に会いに行こうと思うんだ」

言いながら、リクの手をぎゅっと握る。

そのユフィの手は震えていた。

「おねーちゃん?」

「駄目だなー…なんか、緊張してきた…」

ユフィはリクに視線を合わせると、震えながら強く抱き締めた。

自分の事が嫌いになって出て行ったのだったら。

拒絶されるのが、怖い。

そう思うだけで、体が震える。

すると、リクはユフィの頭を優しく撫でた。

「リク…?」

「大丈夫だよ!おねーちゃんに酷い事言ったら僕がやっつけてやる!」

こんな小さな子供なのに、なんて心強い。

「うん、ありがと」

今度はユフィがリクの髪をぐしゃぐしゃと撫で回し、笑顔を向けた。








「ここにいるの?」

「多分、ね」

ティファからの電話で教えてもらったのは、伍番街スラムに建つ教会。

クラウドは、ここで生活をしているらしい。

ふぅ、と一度息を吐き、ギィ…と大きな扉を開けて中へ入る。

中へ入ると、綺麗に咲いているはずの花畑は荒らされていた。

そして、その奥にいたのは…。

「クラウ、ド…」

茣蓙のような布を引き、その上で横になっている人物。

クラウド…。

ユフィはリクの手をぎゅっと握り、ゆっくりとクラウドに近付く。

変わらない、あの頃のままのクラウド。

変わったのは、自分に対する気持ち?

嫌いになった?

もう、傍にいたくない?

何で何も言わずに出て行ったの?

聞きたい事は、山ほどある。

クラウドの傍に行き、しゃがんで顔を覗き込みながらそんな事を思った。

「っ、ふ…ぅ…」

途端に涙が溢れる。

リクが心配そうに見ているが、涙は止められなかった。

ぽつ、ぽつ、と涙の雫がクラウドの頬に落ちる。

すると、クラウドはゆっくりと目を開け、映った人物に驚きの表情を向けた。

「っ、ユフィ?」

体を起こし、ひたすら泣いているユフィを見つめる。

「どうしてここに…」

「こらー!おねーちゃん泣かせるなー!」

びし!とクラウドに指を突き出して強く言うリク。

「お前は…?」

そして、クラウドの目にはリクの星痕症候群が映った。

「…そうか、お前も…」

クラウドの言葉に、すぐに反応したのはユフィだった。
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