□君といる時間〜本音〜
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ユフィの目に映ったのは、満面の笑顔を向けるユウキ。

「ユウ……」

「全く。お前、成長したよなー。ほら、俺の事はいいからクラウドんとこに行ってこいよ!」

「ユウキ…っ、うん、ごめん!」

「ごめんじゃないだろ?」

「ははっ!ありがと!」

手を振り、宿屋へと走っていくユフィ。

ユウキは彼女の姿が見えなくなると、その場に座り込んだ。

「結構辛いんだな…。いつもフラれてるけど…こんなにキツイのは初めてだ…」

…放っておけないアイツが…本気で…好きだったんだ…。

ぽつりと呟いた言葉は、風と共に消え去った…。






「クラウドっ…」

宿に戻っても、クラウドの姿はなかった。

「どこ…?」

息を荒げながらハッと思い付いたのは、あの場所…。

ユフィはその場所へ向かって走り出した。





着いた先は、ダチャオ像。

以前、2人で来た所だった。

頂上に向かって走っていると、目に映ったのは…。

今、一番逢いたい人。

「クラウド!」

クラウドが座っていたのは、いつものユフィの場所。

ユフィは全速力で走ると、立ち上がったクラウドに思い切り抱き着いた。

「っ…ユフィ?どうして…」

「クラウド…クラウド!ごめん…あたし…!」

「………黙って…」

「え…っ、ん…ふ…」

顔を上げた途端、深いキスを仕掛けられる。

ユフィはクラウドの首に腕を回して強く抱き着くと、自分からクラウドを求めた。




数十秒の長い口付けの後、2人はダチャオ像に足を投げ出して座り、手を繋いだ。

「…ちゃんと、断ってきたから」

「え…」

「さっき、ユウキに真剣に『好きだ』って言われた。でもあたし、もうクラウドじゃないと駄目だからごめん…って」

「…そうか」

「そうか、って…それだけー?」

ぷぅ、と軽く頬を膨らませると、クラウドはふ、と笑いながらユフィの頭を撫でる。

そしてそのまま彼女の頭を自分の方へ引き寄せた。

「…俺も、同罪だからな」

「え…」

「くだらない事でイライラして…泣かせて。…悪かった。お前を信じてるとはいえ…柄にもなく不安になった」

「クラウド…」

胸の奥が、ツンとなる。

クラウドのその言葉だけで充分だった。

「クラウドー」

「ん?」

「あたしの事、好き?」

「…………」

「クラウド?」

返事がない。

ユフィはチラッとクラウドの顔を伺った。
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