□A New Day@
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学校に着き、正門で降ろされたユフィは男と別れた。

朝練に出てきている生徒達は、男を見る度に歓声を上げた。

(まぁ、そりゃそーだよね)

あれだけ容姿がいいのだ、女生徒は皆顔を真っ赤にしながら男を視線で追う。

(結局、何の用事だったんだろ)

ま、いっかと思いユフィは足を引きずりながら体育館へと向かった。

二度と会える事はないけれど。

世の中にはあんな完璧な容姿の男がいるのか、と感心したユフィだった。











「うー…もう最悪…」

結局大事を取って朝練は見学したユフィ。

教室である2年A組に戻ると、空手部の朝練を終えたティファが席から笑顔を向けた。

「ユフィ、おはよ」

「おはよー…」

窓際の一番後ろの席はティファ、そのすぐ前の席がユフィの席だ。

元気のない挨拶をし足を引きずりながら椅子に座ると、親友であるティファの机に顔を伏せた。

「足、どうしたの?」

「実はさ〜…」

すぐに足の異変に気付いたティファに、ユフィは朝起きた出来事を伝える。

「ふーん、そうだったの」

「もー…もうすぐ先輩達の大事な最後の夏の大会だってのにさ」

「そんなユフィに朗報。今日、新しい副担任の先生が来るみたいよ」

「興味なーい」

「若くて、凄いカッコイイって評判みたい」

ふーん、と聞き流すユフィ。

ユフィは恋愛とか、誰かと付き合うとか全く興味はないのだ。

その事を十も承知のティファは、少しでも興味を持ってほしいと思っているのだが。

(…ま、そういうユフィも可愛いんだけどね)

ふふ、と微笑むティファに、ユフィは『また始まった』と溜め息をついた。

「あ、朝ご飯食べてないからお腹空いたなー」

言いながら、机のサイドに掛けたバッグから惣菜パンを出して頬張る。

キーンコーンカーンコーン…

HR開始のチャイムが鳴ると、ユフィは机の中にある教科書を一冊出して広げ、顔を隠して再びパンを食べ始めた。

まぁ、これもいつもの光景なのだが。

ガラガラ…と教室の扉が開くと、入ってきたのは担任であるシド・ハイウインドと新しい副担任の男。

「おーいキサラギ。メシはまだだぞー…っていつもの事か。じゃあHR始めるぞー」

シドはユフィを止める事なく大欠伸をして教壇についた。

女生徒は副担任を見た瞬間に黄色い歓声、男生徒の間では『オー!』とどよめきが起こる。
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