□A New DayE
2ページ/4ページ





なかなか缶に届かずイライラし出したユフィは、近くにあった椅子を運び、その上に乗ろうとする。

「おい…っ」

「へ?あ、や…!」

椅子に乗った途端、ぐらりとバランスを崩して倒れそうになった。

(やばっ…)

派手に倒れるのを覚悟でユフィは強く目を閉じる。

「っ…」

……………。

いつまで経っても衝撃がない事に、ユフィはそっと目を開けた。

「え…」

ユフィが目にしたのは、自分を庇って下敷きになったクラウドの姿。

(…庇って…くれた…)

クラウドに抱き締められる形になっている為、ドクドクという心臓の音が聞こえる。

「大丈夫か?」

「あ…うん…え、と…ごめんっ」

慌ててクラウドから離れようとすると、さらに強く抱き締められた。

「ちょ…っ…」

「無事で良かった…」

(な、何…それ…)

ふとしたクラウドの優しさに、胸が詰まる。

そんな事、言わないで…

自分の心臓の音が抑えられず、ユフィは勢い良くクラウドから離れた。

「え、と…あ、ありがと…」

その言葉に、クラウドは優しく微笑んだ。

(…あたし、やっぱり…)

やっと気付いた、自分の気持ち。

出会ってからの時間なんて、関係なかった。

初めて会った…昨日の朝から。

……好き。

誰かを好きになったのなんて初めてで。

(どーしよ…)

自分の想いに気付いてしまったから…

どうすればいいか分からない。

気を紛らわせる為、ユフィは再び調理を始めたのだった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ