□A New DayF
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大会当日。

選手控室ではミーティングが行われていた。

スターティングメンバーであるユフィももちろん、中心に入って顧問の話を聞いている。

「…よし、今から30分自由にしててくれ」

顧問の言葉と共に、部員達はそれぞれ思い思いに過ごした。

ユフィは控室を出て一度外へ出る。

建物裏へ移動すると、木にもたれてその場へ座った。

(余計な事考えてちゃ駄目だ…集中しなきゃ)

ぱしぱし、と自分の両頬を叩く。

そして、ごろんと仰向けになった。

「はぁ…」

この3週間、何回溜め息をついただろうか。

やっぱり、アイツの事が頭から離れない。

「…好き、なんだなぁ」

一度感じてしまったこの気持ち。

簡単に忘れる事なんてできなかった。

クラウドの顔を見ると泣いてしまいそうで。

だから、視線を合わせないようにしていた。

なのに。

「……ばかやろー」

ぎゅっと目を閉じ、腕で顔を覆った。

暫くそうしていると、頬にひんやりとした何かが当たり、ユフィは目を開けた。

「っ!」

目に映ったのは、いつものスポーツドリンクと。

クラウドの姿。

「なん、で…」

ユフィが体を起こしスポーツドリンクを受け取ると、クラウドは隣に座った。

「お前の親友に頼まれた」

(ティファの馬鹿〜!)

「…と、自分の意思、だな」

「え…」

言いながら、クラウドも自分の缶を開けて口に含んだ。

「あと…言いたい事がある」

「何…」

ユフィがクラウドを見た瞬間、唇に何か温かいものが当たった。

「…………な、に…」

ユフィの思考が止まる。

何をされたのか、今だに理解はできていなかった。

(あたし、キス…された…?)

え、

え?

「何で…」

「分からないのか?」

クラウドの言葉にゆっくりと、静かに頷くユフィ。

そんな放心状態の彼女を見てふ、と軽く笑うと、優しく髪を撫でた。

「好きだ」

「っ…」

「あと、勘違いしてると思うから言っておくが、前俺の家に来たのは彼女でも何でもない。昔からの付き合いだ」

真剣にユフィの瞳を見つめて言葉を発する。

その真剣なクラウドから、目を逸らす事はできなかった。
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