□A New DayH
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この調子じゃ、自分の理性がいつまで保てるか分からない。

クラウドははぁ…と溜め息をつくと再びユフィに近付いた。

「こうしても…びっくり、する?」

「え…っ」

理解していないユフィに、クラウドは彼女の首筋に顔を寄せちゅ、と口付けた。

「んっ…や…」

そして、そのままぺろりと舐め、クラウドはユフィから離れた。

「そんな心配しなくても、こんな所ではしない」

「っ…」

クラウドの言葉が何を意味しているか、さすがにユフィでも理解できた。

そう、いつかは…抱かれる。

分かっていたはずなのに、改めて言われると…。

「…ほら、帰るぞ」

ユフィに背を向け、プールから出ようとするクラウド。

「あ…っ」

思わずクラウドの腕を掴む。

するとクラウドは振り返り、優しい笑みを向けた。

「どうした?」

「あ、あの…さ…」

ごくり、と唾を飲む。

そして、俯いたままぽつ、と言葉を発した。

「……名前…」

「ん?」

「…も、一回…名前で呼んで、ほしい…」

「…………」

突然、何を言い出すかと思えば。

表情は見えないが、恐らく真っ赤な顔をしているだろう。

そんな彼女を見て、クラウドはふ、と笑いユフィの耳元に口を寄せた。

「ユフィ」

「っ…も…一回…」

「…お前は、言わないのか?」

「え…」

「俺だけ言うのも不公平だろう」

思わぬクラウドの言葉に、ユフィはさらに顔を赤くする。

確かに、自分だけ言われているのも不公平かもしれないが。

(〜〜〜っ!)

ユフィはばしゃばしゃと乱暴にプールの中を歩き、手摺りに捕まって外へと出た。

「ユフィ?」

クラウドが名前を呼ぶと、ユフィは振り向き真っ赤な顔で口を開く。

「っ!クラウド!」

それだけ言い放つと、ユフィは走って更衣室へと行ってしまった。

残されたクラウドは。

「…全く。敵わないな…」

名前で呼ばれる事がこんなに嬉しい、なんて。

彼女だから、そう思うのかもしれないが。

クラウドもまた、ゆっくりと歩きプールから出たのであった。

今のユフィには、これが精一杯の愛情表現。




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