flynn×yuri
□騎士様とお姫様
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ユーリたちは、しばし休息をとるため、花の街ハルルに来ていた。
「フレン!こっちの方が綺麗に見えますよ!」
「エステリーゼ様!そんなに慌てて走ると危ないですから!」
「フレ〜ン♪早く早く♪」
「エステリーゼ様〜!待ってください!」
ハルルの樹の下まで楽しそうに駆けていくエステルを、フレンは苦笑しながら追いかける。
まるで恋人同士の追いかけっこのようなその光景を、つまらなそうに見ている青年が一人……
「………」
「なんだかラブラブだね、騎士様とお姫様」
「………」
やれやれとため息をついて言ったカロルの言葉に少し肩を揺らしながらも、ユーリは二人を見つめたまま黙っていた。
「ユーリ?どうしたの?」
「なんでもねぇよ…」
(やっぱオレよりエステルの方が…)
不思議そうに訊ねるカロルに、ユーリは首を横に振って、どこか寂しげに俯いた。
お姫様と騎士様。
それは物語によくある幸せな恋人パターン。
自分なんかが隣にいてもいいのか、改めて問いただされているみたいで、ユーリの心はミシミシと悲鳴をあげる。
本当は隣にいたい。
自分だけを想っていてほしい。
フレンを独占していたい。
「何しょんぼりしてるんだい?」
「っ?!」
突然フレンがユーリの顔を覗き込んできたので、ユーリはもちろん、隣にいたカロルも驚いた。
「びっくりした!エステルと花を見に行ったんじゃないの?!」
「エステリーゼ様は今リタとのお話に夢中だ。それよりユーリ」
「な、なんだよ」
「どうしてしょんぼりしてたんだい?」
きょとんと首をかしげるフレンに、ユーリはほんのり頬をピンクに染めて再び俯いた。
「しょんぼりしてたの?」
「してねーよ!!」
「ユーリ!!」
「うぅ……」
顔を真っ赤にして否定するユーリに、フレンはちょっと声色を強くした。
ユーリはしぶしぶ俯いたまま話し始めた。
「フレンは、オレより……エステルの方が……好き……なのかも……って。……オレなんかより…可愛くておしとやか、で……女のエステルの方が……」
「ユーリ……。なんて可愛いんだ君は!大好きだユーリ!愛してるよっ!」
フレンは嬉しそうにユーリを抱き締めた。
ユーリはいきなりの抱擁に顔を真っ赤にして恥ずかしそうにフレンを睨んだ。
「はぁ?!っ!ちょっ!いきなり抱きつくな!!」
「嫉妬してくれるなんて!…大丈夫。そんな心配は不要だ。エステリーゼ様は確かに可愛らしい方だ。大切に思っているのも確かだ」
「………」
「でも君のことはそれ以上に大切に想っているし、僕にとって君は世界一可愛くて魅力的な恋人だよ」
にっこり笑ってユーリの頬に口づけるフレンに、ユーリは恥ずかしすぎてフレンの服の裾をぎゅっと握った。
「そういうことをサラっと言うな!!カロル先生だって見て……ん?カロル先生どこ行った?」
ふと隣を見ると、さっきまでいたはずの少年はそこにはいなかった。
「………付き合ってらんないよ………」
fin...
なんだか不完全燃焼;;
ラブラブな二人にストレスが溜まりつつあるカロル先生www
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