yuri×flyyn
□はじまりはあの時
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※幼少ユリ→フレ
ユーリ視点
帝都ザーフィアスの下町。
そこに俺たちは住んでいた。
幼かった俺たちはいつも一緒で、ずっと隣にいて、ご飯を食べたり、遊んだり、散歩したり、昼寝したり……。
だけど一つだけアイツ……フレンとは違うものがあった。
『家族』だ…。
フレンには母ちゃんも父ちゃんもいる。
俺にはいない。
夕方になると、フレンは手を振って家に帰っていく。
それがたまらなく嫌で、寂しくて、胸がキュッと締め付けられる。
でもそれをアイツに言ったら、絶対困らせる。
それだけはしたくないから…。
「うわ、もうくらくなっちゃうね!」
「っ!ん……かえらないとな」
フレンが薄暗くなった空を仰ぎながら口にした言葉に、俺は俯く。
もう離れないといけない。
明日また会えるとわかってても、なんだか寂しいんだ。
「じゃあまたあしたねユーリ!」
「ああ、またあしたな!」
今日もまた、手を振って別れる。寂しい気持ちを抑えながら、世話になってる『箒星』に帰って、女将さんの温かい夕御飯を食べる。
「どうしたんだい、ユーリ。最近夕御飯食べるとき、随分元気が無いじゃないか」
「なんでもない…。あそびつかれただけだよ」
心配そうに訊ねる女将さんに、素っ気なく答えると、女将さんは苦笑いをしながら俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「っわ!なにすんだよ〜!」
「可愛くないね〜。フレンがいなくて寂しいんだろう?」
「ち、ちげぇよ!そんなんじゃねーから!」
思いっきり図星だったせいか、俺の顔は熱くなった。多分かなり真っ赤だろう。
女将さんは優しくにっこり笑った。
「あんたたちは人一倍仲が良いんだ。そう思うのは当たり前だよ」
「………うん…」
女将さん。違うんだ………
仲が良いとかじゃなくて、
アイツが俺の名前を呼ぶたびにドキドキしたり、
アイツが誰かほかのガキと話してるのを見ると、なんか、モヤモヤしたり、
アイツがふんわり笑うと、ずっと傍にいて護りたいって思ったり、
こういうの、仲が良いだけであんのかよ…
「なあ、おかみさん……」
「ユーリ!!」
俺の言葉を遮るように、勢いよく扉が開かれ、聞き慣れた、大好きな声が響いた。