ＨＯＲＲＯＲ
□漆黒のマリア様Ⅰ
1ﾍﾟｰｼﾞ/11ﾍﾟｰｼﾞ
とある有名私立高校。ここに病気に苦しむ一人の少女がいた。
名前を岩崎茜という。
茜は、今まで医者になる事だけを夢見て、必死で勉強をしてきた。
そして、努力の甲斐もあり、医学部としては名門と言われるＫ大学、その付属高校へとみごと合格した。
そんな彼女が病気の事を知らされたのは、つい最近の事。
体育の時間中、胸が締め付けられるような感覚と猛烈な痛みが襲い、倒れてしまったのだ。そして、次に目が覚めた時、彼女は病院のベッド上にいた。
そう、その時の検診で初めて、茜は自分自身の心臓に病気があるという事を知る。
激しい運動は心臓に負担がかかるから控えなくてはいけない事、発作が起こるたびに寿命が縮む事、…治る見込みがない事。その事実だけは聞かされていないものの、間接的には知っているようだった。
そして昨日、茜は早急に入院しなければいけない事を自分の意志とは関係なく、余儀なくされたばかりであった。
「なんで私が…」
いくら嘆いても、状況は何も変わらない。
本当は声に出して叫んで、走って、この状態から今すぐ逃げて出してしまいたい。
しかし、心臓の病気を持つ茜にとっては、叫ぶ事も走る事もただ自分を苦しめる事でしかなかった。