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268件のレスが見つかりました
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投稿者 親記事
[記事No.326462]短編小説

まなか
ID:[shiroikotori]
PC
投稿日時:04/03 19:27

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 ま、間違って短編小説スレッドを削除してしまいました……!!
 本当に本当に申し訳ない。消してしまった作品の作者様にお詫び申し上げます。

 また作りますので、また投稿していただけると嬉しいです。すみませんでした。

 一つのレスに収まる長さの短編小説を書きましょう。
 投稿は何度でも大歓迎です。連続投稿も可能。気が向いた時に参加してください。
 スレ主も頻繁に出現します。

投稿者 スレッド
[記事No.333452]Re:短編小説

うぱぱ
ID:[noeru624]
F705i
投稿日時:06/13 22:54

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記事No.326462への返信
参加させて頂きます





「あんた、おかしいよ」

暗い廊下に響く声、私は沢山の生傷を負った彼女を見た。
こんな子じゃなかったのに、何が彼女を変えたのだろうか
窓から見える空は真っ暗で雨が地面に叩きつけられる音がよく耳に残った

「ねぇ、今年になって人を傷つけたのは何度目?自覚してる?」
「・・・」
「黙ってたら分からないじゃん」
「・・・・・・ごめん」
そんなもの、謝られても仕方が無いじゃないか。誰かとやりやったであろう彼女の体の傷を見て私は鞄で彼女をぶった
「・・・・・・っ」
「もう本当最低、なにがあんたを変えたのよお」目が熱くなるのを感じた、こんな奴の為なんかに泣きたくない、こんな奴・・・・・・彼女はただスカートを握っているだけだ
「・・・二度と、私に話しかけないで!あんたは・・・・・・存在価値のない人間だわ」
私は軽蔑の眼差しでそれを見るとなんの未練も無くそれ、から離れた。


知らなかったのだ、彼女が殴られてでも盗まれた私の私物を取り返してくれていた事など。

知らなかったのだ、クラスメイトから酷く落書きされた私の机をずっと彼女が消していてくれた事など。

知らなかったのだ、私の変わりに沢山の人間からいじめられていた事を、暴力を受けていた事を。

彼女に罪はないと 私は知らなかったのだ

気付いた時遅し、彼女の汚された机に彼女が戻る事は 彼女の顔を見る事はもうなかった

空はどす黒く染まっていた


―――――――――――駄文ですみません。
ちょっとしたbadend的な友情ものをかこうとしたのですが・・・・・・(笑)
[記事No.333618]Re:短編小説

パイソン☆
ID:[painn528]
PC
投稿日時:06/15 13:17

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記事No.326462への返信
「分からないんだ」
「はい?」

夕焼けを見上げながら呟く友人【悠】
白く柔らかそうな肌と背中まである黒髪に夕焼けを映した黒い瞳
長く一緒にいる自分でも思うが悠は美人だ
欠点と言えば、今のように意味不明な発言を唐突にすることだ

「また悠の意味不明な発言か?」
「そんなのではない
 ただ人間は何のために存在するのか分からないのだ」
「明日の揚げパンのために存在するんじゃねぇの?」

こんな事を言うのも今では日常茶番だ
悠もいつもなら「ふっ」と自分を見下すかのように鼻で笑う
 

  だが、今日は違った―

「そうか」
「んっ??」
「それも1つの答えか、お前らしいな・・
 最後に良い意見を聞けて良かった・・・・」
「悠?何言ってんだ」
「明日の揚げパン楽しみだな」

それが悠の最後の言葉
それが悠の最後の笑顔だった

あの夕方以来、悠は何処かに行ってしまった
今でも行方不明だ
生きてるかどうかも分からない

「悠の分の揚げパンも食っちまうぞ・・」

なぁ悠、俺は悠の傍にいたいから存在してるんだぞ・・・?
早く出てこいよ馬鹿悠―

******************************
長文・駄目分ですみません!
また参加したいです!!
[記事No.333929]Re:短編小説

そら
ID:[takayauke]
SH704i
投稿日時:06/19 10:51

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記事No.326462への返信
前のスレに投稿したやつです




俺の欲しいものってなんだろう。そう思いながら夜道を歩く。
自由?
いや、こんな時間に歩いてる時点で自由だ。
金?
あんな家に金がないわけがないだろう。
じゃあ何が欲しいんだ。
街頭の回りを飛び回る小さな羽虫を横目でちらりと見て、ポケットに手をつっこむ。
病院であったあの子はなんだったんだろうか。
俺は数日前まで入院していた病院を思い浮かべ、そこにいた白い肌の少女に思考を巡らせた。
「私はね、忘れられるの。」
小さな小さな女の子は言った。
一切の感情を失ってしまったようないつもの顔に、少し悲しみを浮かべながら。
俺の主治医になっていた兄貴は少女に気付かなかった。
病室に入ってきた俺の親達が俺を兄貴と比べ罵倒している間も、少女には気付かなかった。
「私は忘れられているの。」
退院する日、少女が消えた。
少女は多分、存在を欲しがっていたんだろう。
うるさい親どもを除けば何不自由ない俺は、何を求めているんだろうか。
「腹減ったな。」
コンビニに入りパンと菓子を手にレジに向かい、言われた金額にたいしクレジットを出し支払う。
コンビニから出てパンをかじりながら歩き続ける。
少女は何処に言ったのだろう。
最後に会ったあの日。少女は少し微笑みながら言った。
「私を、忘れないで?」
そういえばそんな事を言っていたな。まぁ、今は関係もないだろう。
足の下に小さな花があることに気付く。
踏み潰さないように足を下げるのをやめた。いつもならそんな事考えなかったのに。その小さな青い花にあることを思い出したから。

退院した日、少女が部屋から消えた日。中庭の隅に小さな青い花を沢山付けた花があった。何故か目を引いたその花。
「そんな所に花あったのねぇ。勿忘草。」
「ワ、スレナグサ…。」
看護師さんの呟きを片耳で聞きながら立ち上がり病院を後にした。
それを思い出した俺は携帯を取り出し、勿忘草と検索した。
「勿忘草…春、夏に青い花を咲かせる…花言葉は…」

『私を、忘れないで。』

じゃあ、あの少女は……。
携帯をぱちんと閉じ、俺は歩き続けた。
俺が欲しいものは…
あぁ、そうか、分かった
瞼の裏にあの日の家族を思い浮かべ、知らない間に口元に笑みを作り俺は歩き続けた。

***
[記事No.333940]Re:短編小説

キコ
ID:[642424]
PC
投稿日時:06/19 14:50

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記事No.326462への返信
私の目が視えなくなり始めたのは、十歳の時だった。

物が霞んで見えなくなったり、視界が狭くなったり、ゆっくりと目が視えなくなり始めたのだ。
先ずは右目が蝕まれ、十五歳で完全に見えなくなった。
次いで左目も蝕まれて、今は前の半分の視力だ。
何時か訪れるその日に怯える毎日の中で、私はあなたに出逢えた。

「だから、そんな顔をしないで?」

私は彼に向って微笑む。
彼は痛みを堪える様な辛そうな顔で、私を見つめていた。
それもそうだろうな。
いきなり治療の手立てのない病気の話をされて、しかもその相手が結婚を申し込んだ相手では。
彼は何かを言いかけて口を開くも、言葉が見つからず再び口を閉じた。

「今まで黙っていてごめんなさい。」

彼に非は無いのだ。
彼が握り締めている手にそっと触れた。

「あなたが気に病む事じゃないの。私が・・・・私が悪いの。」

「お前・・・・。」

私は一生懸命笑って見せた。

「わかってたのよ、本当は。こんな私は、あなたには相応しくないって。でも、あなたの優しさが嬉しくて、離れたくなかったの。」

「何を言って・・・。」

「別れましょう。」

彼の言葉を遮って、私は言った。痛む胸に気付かない振りをして・・・。
彼は呆然と私を見ている。
だが直ぐに、その瞳に哀しみを浮かべた。
どうしてもっと早く、こうしなかったのだろう。
大切な人にこんな顔をさせるくらいなら、自分一人が傷ついた方がどんなに楽だったか。

「あなたは、沢山の未来があるもの。」

暗闇に生きる事になる私とは違う。彼は、これから未来に向かって輝く道を歩くのだ。
その邪魔になるのは、絶対に嫌である。
私はきっと、あなたの想い出を抱えて生きるのだろう。
だから、あなたが私を忘れても平気。

「元気で頑張って。あなたが幸せになるのを・・・・。」

「ふざけるな!!!」

彼はいきなり私に怒鳴った。
膝の上で握りしめている拳が震えているのは、怒りか、それとも哀しみのせいか。
私は何も言えず、そのまま彼を見ていた。

「なんだよ、別れるって!!お前の目が見えなくなるから、だから俺がお前を捨てると思ったのか?!なんでだよ・・・なんで、そう思うんだよ!!」

彼がこんな風に怒鳴るのは、あの時以来だ。

「俺は・・・俺は絶対にお前を手放さないからな!」

ガタンという音と共に、視界が黒一色になった。
椅子を蹴倒して抱きしめてきた彼の腕に抱かれたまま、私は固まった。耳に届いた彼の声は、震えて涙に濡れていた。






目の視えない私と、彼のお話。機会があれば続きを書きたいです。
[記事No.334051]Re:短編小説

鈴瑠璃
ID:[ariaray]
PC
投稿日時:06/20 17:19

HPアドレス   レスを削除する   違反連絡
記事No.326462への返信

誰もいなくなってしまった。
私の周りにはもう誰もいない。どうして誰もいないのだろう。
私は生まれつき、あるものがなかった。
だから、ずっと気味が悪いと言われていた。
どうして、どうして気味が悪いの?
答えを知っているはずの両親は、私が学校から帰ると居間で首を吊っていた。
私を引き取った祖父母も、ある日私が学校から帰ると台所で手首を切って死んでいた。
もう、私には何もない。
ねぇ、どうして私は完全じゃなかったの?
歪んだ果実は生まれてきてはいけなかったの?
「そんなことないよね…」
自己満足のように、誰もいない部屋でつぶやく。
私には足りないのだ。私は歪んでいるのだ。
だけど、そんな私でさえ砕けた鏡には綺麗に写る。私は家のガラスを全て割った。ヒビをいれた。
どうして私は歪んでしまったのか。
誰か教えてよ。

奇形児の話。足りないものは「普通の姿」
歪んでいるから砕けた鏡には綺麗に写る。
[記事No.334537]Re:短編小説

彩音
 KTtGoEbo
ID:[snow14tears]
N03A
投稿日時:06/27 00:41

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記事No.326462への返信

「私、死ねないんだぁ」

目の前にいる少女は、屋上のフェンスに力なくもたれながらそっと呟いた。
「…人造人間、って事?」
「ぷっ、アハハハ!違う違う!そんなかっこいいものじゃないよ。」
…かっこいいかは別にして、笑い飛ばされた事でムッとした僕は、じゃあ何だよと急かした。が…
「私ね、この世界が嫌いなの。」
…答えになっていない返事が返ってきた。
「大嫌いで仕方がないの。だから死にたい。こんな世界で生きてたくないの。」
…彼女に何が合ったかなんて知らない。
だけど、そう語る表情はひどく悲しいものだった。
「だけど…ね、死ねないの。私はこんなにも死ぬ事を望んでるのに、身体がいうことを聞かないの。

剃刀を持ってね、手首に這わすの。でもね、恐怖で震えていつも出来ない。だから今度は高いビルの屋上に行ったわ。でもね、私って高所恐怖症だったのかしら…怖くて飛び降りれなかったわ。」
淡々と話す彼女の瞳には涙が零れ、強い春風に吹かれて飛び散っていく。
「…可笑しいでしょう?死にたいのに、死ねないなんて。」
…何が彼女をこんなにも苦しめているのだろう。
何が彼女をここまで追い詰めているのだろう。
誰も彼女を救うすべを、持ってなどいない。
…だけど、僕にならきっと出来る。
彼女を深い苦しみから解放してあげることが…。

屋上のフェンスが風で揺れ、ギシギシときしむ。
彼女はそれに気付かない。
「…ねぇ、ひとつだけあるよ?君の苦しみを解く方法。」
「え……?」

赤い瞳で見つめる彼女の肩を、僕はそっと、だけど力強く押した。





意味不明でごめんなさい;
彼女を救えるのは僕だけだ、という狂った愛が書きたかったのですが…。
気分を害した方すみません(__;)
[記事No.334538]短編小説

ちゃー仔
ID:[edisonlight]
N703iD
投稿日時:06/27 00:58

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記事No.326462への返信
参加(ノ∀`)


"好きです"

「何それ手紙?」
「うわ、びっくりした」

クラスで一番背の高い女が肩を小さくして何かを必死に書いていた。なんだか気になり、話し掛けたら驚かせてしまった。

「な、なんだ小林か」
「ラブレター?」
「あっち行け馬鹿」

ぷぷぷ、俺より背でかいくせして意外に女っぽいとこあるんだな。変なの。

「誰宛て?俺?」
「あー、そうそう」
「流すなよなー」

つーか今時手紙で告白って。重い上に古い奴。

「……にやにやするな」
「してねぇべ」
「はあ」
「溜め息吐くなって」
「誰のせいよ馬鹿」

このジャイアント馬場のような女をここまで乙女にするとは。まぢで誰だ。

「な、まぢ誰にやるの」
「しつこい」
「教えてくれるまでここにいるからな」
「……藤森」
「え?」
「藤森にあげるの!」
「……あ、そ」

うわー、立ち上がったし。でかいし。怖いし。

「え、ちょいタンマ」
「……」
「藤森、彼女いんべ?」
「…勘違いしてない?」

ホワイ、勘違い?

「藤森祐樹、だろ」
「……藤森花奈絵」
「…オッケ、落ち着こうぜ」
「あんたがね」
「藤森花奈絵は女」
「そうだね」
「お前もでかいけど女」
「……そうだよ」
「つまり、あれか」
「レズよ、悪い?」

あまりに軽く言うもんだから。拍子抜け。

「わ、悪かねーよ…」
「好きだから、仕方ない」
「……頑張れ」
「早くあっち行って」

世の中にはいろんな奴がいるもんだ。

数ヵ月後、手を繋ぎ歩いているジャイアントと藤森を見かけたのはまた別の話。


おしまいっ(^o^)←
ありがとうございました。
[記事No.334613]Re:短編小説


ID:[sakutyan]
PC
投稿日時:06/27 23:51

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記事No.326462への返信
 恋愛小説に初挑戦してみます。お見苦しかったら澄みません。


「なぁ、いつまで黙ってるんだよ」
 大樹は夕日で赤く染まった海を見つめながら呟いた。
「う、うん――」
 晴香は大樹の横で赤く揺らぐ波を眺めながら、俯いた。
 優しく肌を撫でるような風が、ほんのりと海の香りを運び、潮の香りが晴香の鼻をくすぐった。
 大樹をここに呼び出したのは晴香であった。
 二人が初めて出会ったこの場所に。
 その時も今日のように、太陽は大きく、海はきらきらと輝きを放つ赤いワインのようであった。
 晴香は顔を上げると、意を決して口を開いた。
「大樹、最近あまりメールも返してくれないしさ、電話でもあたしと話すのかったるそうだし――」
 言葉途中で再び俯く晴香に大樹は、一瞬目をやると小さく微笑んだ。
「ちょっと忙しかったんだ。悪い」
 いつもと変わらない大樹の言葉に、晴香の中で怒りがこみ上げる。
「忙しいって、なに? あんた部活もしてないでしょ?」
「いや、色々とさ――」
 取り繕おうとする大樹の言葉が、晴香の怒りに油を注いだ。
「やっぱりあたしに言えないことなんでしょ?」
 う――んと、唸りながら、大樹は心なしか眉を寄せ、赤く滲んだ夕日を眺める。
 その大樹の様子に晴香は、自分の抱いている不安が的中していたことを実感し、とてつもない悲しみが胸の奥からこみ上げてきた。
「別れましょう――」
 きっと他に好きな人ができたに違いない――晴香の声は掠れていた。
「残念だな――」
 大樹は呟くとポケットに手を入れ、中身を探った。
「受け取ってくれるかい?」
 大樹は晴香の目の前に小さな箱を差し出した。
 晴香は恐る恐る大樹の手に乗った小さな箱を開けるとそこには、質素ではあるが、花の模様をあしらったシルバーリングが夕日の光を受け、輝いていた。
「これって――」
「――ああ。卒業して、仕事も落ち着いたら、結婚してくれるか?」
 電話も出ないし、メールも返ってこない。忙しい理由って、これを買う為にバイトしてたんだ――晴香は大樹を信じていなかった自分にやり場のない憤りを感じ、やがてそれは、返信したくてもできずにいた大樹に対し、申し訳なさに変わった。
 理由も話せず辛かったであろうと。
「ごめん――ごめんね、大樹。本当にゴメン」
 晴香の目から大粒の涙が溢れ、指輪を握りしめる晴香の手に滴り落ちた。
「かまわないさ――」
 大樹は涙で濡れた晴香の手を握ると、優しく唇を重ねた。
 海の彼方の太陽は、仕事を終えたかのごとく姿を消し、漆黒の夜空をうっすらと赤みを帯びた空が海にとけ込んでいた。
 まるで二人の愛がいつまでもこの海に残るかのように。
[記事No.334811]Re:短編小説

虎縞
ID:[tigerhalfowl]
W52P
投稿日時:06/30 04:03

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記事No.326462への返信
  =或る画家=

 思えば、貴女と結婚したくらいの頃が、人生で一番貧乏だったけれど幸福だった。二人揃ってお腹をすかせていたけれど、私は結婚したばかりの貴女の肖像画をよく描いた。ローマのアトリエは日差しがたっぷり差し込んで、貴女は習作のモデルとなってポーズを取った。最強にひもじくて、ある時なんかパンの一欠片も無く、貴女に良い思いをさせてやれない不甲斐なさに涙が出て来た事もあった。貴女はそんな売れない私をよく慰めた。それも情けなかった。
 《ルイ十三世の誓願》をサロンに出品した。これが猛烈な反響を呼び、十八年ぶりにパリに戻った。注文は殺到し、名誉な賞を貰った。貴女と一緒に感激していた。生活は潤い、貴女に美味しい物を食べさせてもやれた。でも、画壇が過熱していけばいくほど、画家としては渇いて行った。
 十年ぶりにローマに行った。貴女と再びローマで暮らした。前のようにはひもじくなくて、弟子が出来て、休日にはヴァイオリンを弾き、そしてまた貴女の肖像画を描いた。時には、同じ画面に私自身の自画像を添えて。
 《オダリスク》を伴いパリに帰った。貴女を連れて壁画を描きに夏の城を訪ねた。いつか若い売れない画家としてイタリアにいた頃、経済的に困窮して、そこそこの金持ち暮らしをしていた友人を頼って二人でフィレンツェに行った事を思い出した。あの頃とは比べ物にならないくらい、私達の周りは豊かになった。貴女にも、新古典主義の旗手たる良き画家の妻という、聞こえの良い立場を与えてやれた。
 けれど貴女はやがて体を壊した。崩壊はどうしようもなくなり、貴女は死んでしまった。
 一年、仕事が出来なくなった。貴女の肖像画を眺めてばかりいた。ローマで描いた、あの貧しくてどうしようもなくて、ただ日差しの柔らかいだけの幸福な日々。絵の中の貴女は、お腹に赤ちゃんを育てていた。この赤ちゃんは泣き声を上げる事もなく、生まれ出でるなり死んでしまって、二人でおいおい泣いていた。
 そのうちに出会いに恵まれ、二番目の妻をもらった。二枚の《モワテシエ夫人》の肖像画を完成させる事が出来た。
 若い新しい妻には悪い事をしたと思う。良き伴侶ではあったが、貴女のようには愛せなかったから。
 肖像画の貴女は、幸せなあのローマのアトリエのままだった。画壇でどんなに成功しても、年をとっても、絵の中の貴女だけは貧しくてそれでも幸せだった、あの日のまま。
[記事No.335336]Re:短編小説

夏子
ID:[578511b]
W54S
投稿日時:07/07 04:33

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記事No.326462への返信
またもや参加^^



届いたメールを確認したら、ピンクの背景にピンクの文字でハートマークをいっぱいに飛ばした、とっても読みづらいものだった。
もう少し詳しく言うと、ついさっき好きな人と偶然会っちゃった!なんていう女子高生気分の抜けない友人からの心底どうでもいい内容だった。恋愛が絡まなきゃほんとにいい娘なんだけど。
正直、返信を半ば強制させられる分、どうでもいいメルマガよりもウンザリする。

良かったじゃん!!
なに話したの?
すっごく気になるんだけどっ!…云々

わたしも同じくらいテンションを上げてハートマークを飛ばす。
ああだから女の子って疲れる。
そんな自分に辟易しながら大学生にもなって女の子グループに固執する、わたしはやっぱり典型的な女の子だなって思った。



メールの返信を終えて携帯を閉じる。
一息ついたところで、またすぐに携帯が泣き出すからうんざりしながら宥めた。返信早すぎだって。

でも送り主は、絵文字のチョイスが妙にファンシーな幼馴染み、もとい彼氏だった。

いま時間だいじょうぶ?
会えないかな?

駆け引きを知らない不器用なこの人を、わたしはそこらの女の子よりずっと可愛いと思う。…世の中これで案外バランスがとれてるのかもしれない。

いつもの公園ね。

絵文字も何もないシンプルなメールは、きっと零コンマ何秒の違いで普通よりも早く君に届くんじゃないかな。なーんて。
すぐに家を飛び出した。



わたしの家により近い公園。
急いで行ったのに彼は既にそこに居て、大きな砂のお城を完成させようとしていた。大の男が何してんだか。
急に芽生えた好奇心に勝てず、新築の物件はゴジラに踏み潰されてしまいましたとさ。ちゃんちゃん。
彼は怒るどころか、息あがってるね、走って来たの?って笑った。
…ああやっぱり好きだなって思った。

携帯が震え出す。件の彼女だ。
次はもう少し優しいこころで返信できそうだよ。がんばってね。応援してるよ。

日が長くなったのを感謝する、そんな初夏の夜。



こんな経験ありませんか?^^
[記事No.335339]Re:短編小説

夏子
ID:[578511b]
W54S
投稿日時:07/07 05:20

HPアドレス   レスを削除する   違反連絡
記事No.326462への返信
以前のスレに投稿したものですが、書き直したのでまた投稿します^^


『オトメゴコロ』

きらきらした瞳で僕を射抜いて、ぐさり。
胸のいちばん柔らかい部分に刺さった。
ひらりひらり、走って来る彼女のスカートに目がいく僕は、…ああなんて不純なんだ。


「ねー聞いて聞いてっ!今朝ね、先輩と喋っちゃったの!」
「…そう、よかったね」


彼女はいつだって僕の心に土足で侵入した。汚い嫉妬でどろどろの顔に、それでも無理やり笑顔を張り付ける。彼女に一方的に押し付けられた信頼を、でも僕は壊すことができないんだ。
ああせめて、


「愛子ちゃんが相談に乗ってくれたおかげだよ!ほんとありがと!」


許される恋だったなら。
すき、だいすき。貴女のことが
無邪気な君は、その甘い声で今日も僕を誘惑する。


一人称が僕の女の子って落ち
連続投稿すみません!
スペースありがとうございました!
[記事No.335401]Re:短編小説


 v7E2M2B6
ID:[kypikumin]
MA35
投稿日時:07/08 00:19

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記事No.326462への返信
初めてレスします´∀`文前半はぶっ壊れてますが、気にしないで読んであげて下さい

は、は、はは
あは
ぁあは
「あぁぅぁあぃぁぁ」
いたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよおとうさん
なぐらないでけらないでおかいものいきたくない
いやいやいやいやいやいや

あぁ、まただ。
僕の僕を見た客観的思考の、第一感想だ。

梅雨の蒸し暑さのせいで、体中から汗をだくだくと流し、布団の中で悶える僕。

それはつまり捕らわれている僕。

過去に縛られている、僕。

入ってしまったスイッチが僕の喉から、最早人間のそれとは思えない奇声を絞り出させる。

午前2時、既に喉はカラカラだ。

ははっ、なんて滑稽なものだ。

早く収まればいいのに、うるさいぞ、僕。
あんなちっぽけな事をまだ引きずって、尚も叫び続けて。

ちょっと殴られて、今も頭にへこみがある、だけ
ちょっと切られて、背中に赤黒い筋が残った、だけ。

ちょっとお父さんに虐待された

だけ。だけだけだけだからなんともないからだから

早く、一刻も早く治れ、あの人が、優し過ぎるあの人が来る前に。

「っは、はぁ、っくぁ」
乱れる呼吸は整うことを知らないかのよう。

「がぎ、ぃやだいたいいたいいたい」

そして口からもれでる言葉は呪詛となり、過去を呪う。

トタトタトタ、廊下伝いを歩く、足の音。

あ、僕の、


キィ…と僕の部屋のドアが開く。「ル、カ…?」

あぁ、来ちゃった

「ケっ、はぁっイ」
ケイミ。僕の、義父。

ケイミは、女性よりも艶やかな緑の長髪を揺らし、僕の布団に近づいた。
そうして、決して男らしいとは言えない華奢な腕で、僕の痙攣する上半身を抱いた。

チクリ。古傷が痛んだ。気がした。

「まずは、ゆっくり息をして」

僕の呪詛めいた言葉とは正反対の、柔らかで抑揚のある声。

「っは、ぁはあ、はぁっぼく、は、僕は」

「まだ喋らなくて良いから。ゆっくり思い出して」
うん。
「ここは、どこなの?」
ケイミの家、僕の部屋。
「誰と住んでる?」
ケイミと僕と、ケイミの姪っ子。
「今君は、痛い?」
痛くない。

「今ルカは、どんな生活を送ってるの?」

言いたくない。だってあまりにも陳腐だから。

でも、もしかしたら、僕のような頭のおかしい人間はそれに嫌でも縋って生きていくしかないのかも知れない。

「し、あわせ…かな」
多分ね。
[記事No.335469]Re:短編小説

yuto.
ID:[sokahagan]
PC
投稿日時:07/08 21:16

HPアドレス   レスを削除する   違反連絡
記事No.326462への返信
初めて、参加させていただきます。
前もって、言っておきます。汚い文章ですみません!!

----------------------

気が付くと僕は、砂浜に仰向けになって寝ていた。
どうして、こんな場所にいるのだろう。
思い出そうと、頭を使ってみるがどうにも思い出せない。

何回か、瞬きをして起き上がる。
しばらく寝ていたせいなのか、少しよろめいた。
辺りを見渡してみると、青い海と空が地平線まで広がっているだけだった。

「なにもない・・・」

ぼそ、っとつぶやいた僕の声だけが波の音に呑み込まれていった。

僕は少し、歩いてみることにした。

―もしかしたら、誰かいるかもしれない―
という希望を持って。

・・・一体何時間歩いたのだろうか…。

だけど不思議だ、ずいぶん歩いたはずなのに、汗も、息も上がっていない。疲れを感じない。
ただ、感覚がなくなっているだけなのか?
まぁいい、今は、ないほうが都合がいい。

しばらく経って、太陽が沈みかけた頃遠くに鍾乳洞を見つけた。
僕の足は、そこに近づくに連れ、速まっていく。

相変わらず、息は上がってない。

鍾乳洞の中に入ると、案外狭く細く光が射しているだけだった。
さらに奥に進むと、石で造られた台に人が入れるくらいの貝が置かれていた。
開けてみると、そこにあったのは文字が書かれた小さな一枚の紙きれだけだった。

僕は、それを手に取って読んでみた。

『ようこそ、天国と地獄の狭間へ。
 あなたはどちらの人間か試させていただきました。
 結果、前に犯した罪も考慮し、あなたは生かすことにいたしました。
 なので、あなたの記憶をお返しします。』


・・・・記憶、読み終わった瞬間、其の場に熱い光が満ちた。
僕は、その強い衝撃に気を失った。



「うっ・・・ん〜」

「雅人!!」

「ん・・・ここは・・?」

目を開けると、白い壁と消毒液の匂いが鼻を突く。
隣には、心配そうに僕の顔をのぞく母がいた。

「かぁ・・・さ・なん・・・で?」

「覚えてないの?あんた、自殺しかけたのよ。手首切って・・・」


『罪』僕の犯した罪は自殺・・・。

「っバカ息子!!・・・。なんか辛いことがあったら何でも言いなさいよ!!どれだけ心配したと思ってんの!」

「ごめんなさい・・・」

「・・・本当に、・・・・よか・・・った・・」

あぁ、そうか、僕の本当の『罪』は、母一人残して死ぬことだったんだ。

「ごめん。かあさん。・・・ごめん」

今、気づいた。あのまま動かずにあそこにいたら、地獄逝きになっていただろう。

・・・死ななくてよかった。

僕は、死の世界を彷徨い生を実感した。

----------------------------

すみません、設定として、↑に入れられなかったので・・・
雅人は母子家庭です。自殺の原因は、友人、恋人のの裏切りです。







 
[記事No.335495]Re:短編小説

まなか
ID:[shiroikotori]
PC
投稿日時:07/09 02:16

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記事No.326462への返信
 投稿がたくさん……!
 嬉しい! 感激です。これからもよろしくお願いします。

 * * * * *

 余命三ヶ月。
 カレンダーがまた一枚剥がれ落ち、天国との距離が一か月分縮まったと知っても、特別な感慨はなかった。
 海に臨む病院の、遥か水平線を見渡せる窓は開け放たれて、おぎろなる海原に波ぼぼかす潮の薫りを、風が運び込んでくる。
 窓枠に手を付いて身を乗り出すと、陽光が髪を撫でた。
 静かだ。
 波音と鳥の鳴き声だけが耳孔を騒がせる。それ以外は。
 耳に手を当てた。平たく、襞の付いたそれは貝のよう。この耳にも、潮騒を閉じ込めておければいいのに。
 全てが、夢の中から眺めていることのようだった。
 ひろい広い海の前にいると、生きている実感が薄れてくる。自分という生が酷くちっぽけな物だと感じさせてくれる。それの死だって別に特別なことじゃない、小さなこと。
 水平線は、この世で一番遠い。追っても辿り付けないことを知っている。
 病室に時計はなかった。秒針の奏でる規則正しい音が、死へのカウントダウンに聞こえるから。
 死にたいわけじゃ、けしてない。でも生きたいとも思わない。
 十の時からの病だ。みんなより早く死ぬのだと知っていた。ずっと覚悟してきた。
 だから平気だ。
 ――海は広い。
 ずっと、あの水平線まで漂っていきたいと思っていた。今も。
 耳に潮の音が響いていた。
 あの海には、無数の命が生きている。
 風が髪を梳いた。
 死んで、灰になったら、海に撒いてもらおう。
 そうしたら、あの水平線で、空と触れ合うことができるだろうか。

 * * * * *

 私は、死んだあと、あんな冷たく狭い骨壷の中に入るなんて絶っ対嫌です。
 意味のさっぱりな経を延々と読まれ線香臭くなって墓石に閉じ込められるなんてごめんです。
 死んだらそのときは無宗教で葬式を挙げてもらって、灰は森か海に撒いてもらおうと思ってます。
 そうしたら私は、もう私という存在としてではないけれど、そこに生きる生命たちの一部としてまた生きられます。
[記事No.335555]Re:短編小説


 P6WxudN2
ID:[kypikumin]
MA35
投稿日時:07/09 21:51

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記事No.326462への返信
またまた書かせていただきます^^;

シャクッ、シャクッ
彼女は、僕の隣でリズム良くかき氷を食べ続ける。
今日は地元の花火大会。時刻6時20分だ。
「美味しい?」
「ん、美味しいよ」
問いかける僕に笑顔で答える彼女の名前は彩矢。
「うむ、それは良かった。奢ったかいがありますな」
僕は一人頷きながら、彼女の大変よろしい返答に、更に答えを返す。

「…食べる?」
「んむ、くれるなら、食べるよ」

彩矢は、かき氷をなるべく多く取ろうと、安物のスプーンと対決し始めた。と、ふと動きを止めて僕に尋ねた。
「あ、イチゴシロップ、苦手だったっけ」
…あぁ、そんな事話したな。
「彩矢の食べるものならなんでも美味しいのだ」
僕のとぼけた返答に彩矢は笑った。
恋は盲目とはいうが、それはほぼ0%と言っていいほど関係はないだろう。彩矢は美人だ。
陶器をように、脆くなめらかな白肌。綺麗なアーモンド型を描く黒目がちな瞳。薄くて、淡い桜色を浮かべた形のいい唇。

「何?」
あまりにも僕がまじまじと彩矢を見つめるから、彩矢は少し怪訝な顔をして僕を見つめ返した。
「いや、早くかき氷ちゃん下さいな」
「あぁ、何?そんなこと」
どんな事だと思ったの。僕が問うと、彼女は冗談混じりに言った。
「彩矢さまさまの美しさに見惚れてちゅう〜なんちって」
え、や、あの。
ど真ん中直球ですな、彩矢さん。僕の頬に血が集まっていくのが分かる。
「やだな、スケベ。照れてるし」
彩矢はそう言ってコロコロと笑った。

違う、そうじゃないよ、彩矢。

「ほれほれ、アタクシ寛大ですから、スケベな貴方も許します」

カチッ、カチッ。僕の腕時計が時を刻んでいく。
現在時刻6時29分。
「はい、あーん」
小さなスプーンに乗せれるだけかき氷を乗せて、彩矢がこちらを向く。
「ん、ありがと」
僕も彩矢と向き合う。

秒針が、また一回りして、分針を前進させた。

6時30分。広くて澄んだ夜空に、派手な爆発音をお供とし、鮮やかな大輪が咲いた。

同時に僕はスプーンを持つ、彩矢の細い手首をつかみ引き寄せた。
「え、う?」

彩矢さまさまの唇を、己のそれと触れあわせる。
ああ、見事なバカップルだよ僕ら。

でも、今はそれでいい。
あいらいく彩矢だから。
…彩矢の唇からは、微かにイチゴシロップの味がした。


なんか意味不明になっちゃってすみません!
バカップルな夏の話が書きたかったんです…
[記事No.335578]Re:短編小説

城平ろくむ
 RSyy8bFk
ID:[ranean]
PC
投稿日時:07/09 23:04

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記事No.326462への返信

某所のお題で書いたものです


・+・+・

「空気」「人形」


碧い硝子の眼。金の髪に、唇は血のように紅い。陶器で造られた肌は白く、すべすべしている。
服は黒のワンピースで、フリルがたくさん付いた所謂ゴスロリと呼ばれるデザインのものを着ている。
そんな格好のあたしは、見た目が十もいかない幼い子の容姿をしている。
透明な硝子のケースの中で座っているあたしは、もう何年もずっと同じ場所に居て、同じ部屋を眺めている。

生きてなどいない。
それでも、あたしは世界を少しずつ理解できるようになっていた。


あたしを造ったのは造主(ぞうしゅ)様だ。
『こんにちは。ようこそ』
眼を入れられて完成したあたしに、造主様が仰った言葉。その言葉があたしの、忘れられない最初だった。
造主様はあたしを撫でて可愛がってくださった。こんな、無機質の硝子の箱の中になど、入れたりはなされなかったのだ。
あたしは、造主様のお膝の上でお話を聞くのが好きだった。造主様はたくさんのお話をしてくださった。あたしみたいな子どもがいた事、その子はまだ小さいのに死んでしまった事。そのお話の時はいつも、悲しそうなお顔をされたっけ。
『死ぬとはどういう事か?』
その時のあたしはまだ理解できなかったけれど、造主様がとても寂しそうなお顔をされる事は理解できた。


今日は空気が死んでいる。
硝子ケースの中まで伝わってくる。
あたしはそういう事も理解できるようになっていた。
埃をかぶった頭でぼんやり考える。
あぁ、この家の主は死んだのか。
空気が重いのはその所為だ。
きっと、あたしはまた誰か見知らぬ人の手に渡るんだろう。

それも仕方のない事。
造主様が死なれた時を、汚れた頭で薄ぼんやりと思い出す。


あの日も、こんな風に空気が死んでいた。のしかかるような、そんな部屋の中であたしは造主様の枕元にいた。
いつまで経っても起きない造主様を、不思議に思っていた。まだ理解していなかった『死』は、造主様が黒く腐っていく事で、あたしの『核』に刻まれていった。
あたしは造主様と一緒に居た。
『死体の側にあったから』と、焼かれそうになった。それでも、奇特な人の手によって免れられた。その人があたしを硝子ケースに入れたのだけれど。


あれからもう何十年、何百年が経ったのだろうか。
何人の人があたしを所有し、愛で、売り、死んでいっただろう。
それはもう、考えるだけ無駄だ。

今日この日に、あたしを所有している人が死んだ。
それだけの事だ。


あぁ、造主様。

何故あたしを造られたのでしょう?
あたしは一体、幾つの『死』を見れば良いのでしょう?
答えはこの空気の中にありますか?

あの人が居なければ…。あの時、造主様と一緒に焼かれていれば良かったのに。



曇った碧い硝子の眼。金の髪には埃がたまっている。唇の紅はくすみ、白かった陶器の肌も薄汚れている。
ドレスの型は古めかしく、見窄らしいものだった。
可憐だったであろう少女の人形は、硝子ケースの中で死んでいた。
造主も判らないそれは、愛でる人も居ず、ただ汚れているばかりだった。

何百年も経た人形には、魂が宿るという。彼女は何を思い、そこに鎮座していたのだろうか。

知る由もないけれど……。


・+・+・


人形って可愛いけど怖い、そんなイメージで書きました
珍しく、PCsiteviewerで書き込みしてみました〜
[記事No.335646]Re:短編小説


ID:[sakutyan]
PC
投稿日時:07/10 17:14

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記事No.326462への返信
 また参加させてくださいませ。
 
 スレ主様の文章、綺麗で素敵です!

 今回の投稿は本職で書いてみましたので、気分を害されたら申し訳ございませんm(_ _)m

 「私の彼氏」

「てめぇ、調子こいてんじゃねぇぞ!」
 怒気を含んだ男の声が、周囲に木霊した。
 愛華は肩を怒らせにじみ寄る男を、臆することなく睨み据えた。
 事の発端は些細なことであった。
 ぶらぶらと街を歩いていた愛華に声をかけてきた男がしつこかった為、思わず平手打ちをかましてしまったのであった。
 まして、髪をキンキンに染め、いかにもいかにもホストでございますといった男の姿に、悪寒が走るようであった。
 自分に落とせない女などいないといった勘違い野郎は、愛華にとって決して許されない人種であった。
「聞いてんのか?」
 男がおもむろに愛華の肩を掴もうとした瞬間、愛華の体が男の視界から消えていた。
 愛華は右足を後方に引き、硬く握られた右拳は鳩尾の前に置かれ、左拳は相手を威嚇するように突き出された空手の双手といわれる構えを取っていた。
「ざけんな!」
 叫びざまに男の右腕が空を裂き、愛華の顔面に打ち下ろすような軌道で拳が迫る。
「はっ!」
 愛華は軽く息を洩らし、左手のひらで男の拳を内側に弾いた瞬間、愛華の右腕がうなりをあげた。
「せい!」
 背中まで伸ばされた栗色の髪がさらりと靡いたかと思うと、上半身ごと相手に突き刺すような右正拳突きが、男の鳩尾にめり込んだ。
「お、ごぉ――」
 男は一瞬息を詰まらせ、下腹を両手で押さえ前傾に体を仰け反らせた。
 男の動きが止まったことをみるや、愛華の右足は硬いアスファルトを蹴っていた。
 ふわりとプリーツスカートが膨らむと、愛華の右足は大きな弧を描き、男の左側頭部を叩いた。
「がっ――」
 何かを言いかけたのか、それとも苦悶の叫びか。男の体は力なく冷たいアスファルトに沈んでいった。
 その瞬間、愛華の中で形容しがたいほどの虚しさが胸中に渦巻いた。
 静かに構えを解いた愛華は、暫し足元に転がる男を冷ややかに見下ろし、そして呟いた。
「あたしの彼氏は――空手だから」
 愛華は男にそう言い置くと、踵を返し溢れる街の人波に紛れていった。
[記事No.335920]Re:短編小説

りお
ID:[bell4724]
SH905i
投稿日時:07/12 23:11

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記事No.326462への返信
こんにちは、三回目です。恋愛ものに挑戦!
………………



ココアみたいな淡い色をした髪から、甘い香りが漂ってくる。蜜柑のような、柑橘系の匂い。爽やかで、胸に心地よい。
無駄に頬をその白いうなじに寄せて、鼻を鳴らす。うん、いいにおい。
きっと、シャンプーを変えたのだろう。それでも、その中に微かに紛れる彼女の香りはそのままで、ボクはへらりと笑った。

「何、笑ってるの?」
「別にー。なんでもないよ」
「ふふ……。変なの」

君が微笑む。
子供を見守る母親のように。けれどもその瞳に混ざる熱は、確かに恋人に向ける類のものだ。
どきり。胸が高鳴る。
初恋みたいだ。甘酸っぱくて、生暖かくて、ふわふわした時間。柔らかい。
そこまで思って、不意に気が付いた。

「幸せって言うんだなぁ、こういうの」

何だか堪らなくて、思わず強く抱きしめたら、シャンプーの匂いが辺りに散らばった。ああ、もったいない。結構好きなのに。
けれど、一番愛しい彼女の香りは腕に閉じ込められたから、僕は満足だった。



………………
髪の匂い、好きです。
しかし、書いてる方が恥ずかしい話だ、これは…。

お粗末様でした!
[記事No.335927]Re:短編小説

桔梗
ID:[ayakikyou]
PC
投稿日時:07/13 00:06

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記事No.326462への返信
はじめまして。
参加させてください。
七月なので、七夕モチーフに…。

『願い』


「何書く?」
「え? お金もちになりたいとか?」
「夢がないなー」

 私は楽しそうにはしゃぐ皆の声を聞きながら、机の上の短冊とにらめっこする。
 手には黒のサインペン。
 
 うす桃色の細長い紙が、なんだか恨めしい。
 私はため息をつくと、短冊から目を逸らした。

 その視線は自然と、ある所へ向かう。

 窓際の列の前から三番目。

 幼なじみのナツの席。
 奴は最近妙に男っぽくなっちゃって…女の子達にキャーキャー言われるようになって来た。

 なんだか気に入らない。

 なんだか広くなっちゃった背中も。
 なんだか逞しくなってきた腕も。
 見上げなくちゃ見れなくなった顔も。
 
「…気に入らない…」

 ナツの後ろ姿にガンを飛ばしながら、呟く。
 
 私はクルクルと手で回していたサインペンを持ち直すと、短冊にキュッと音を響かせながら、『願い事』を書き込んだ。


「なぁ。あれどういう意味だ?」

 頬杖をついて窓の外を眺める私に、ナツが話し掛けてきた。

「何?」

 ナツを見上げる私に、ナツはベランダに取り付けられた笹を指差す。
「短冊。あの字、綾の字だろ?」
「…どれが?」

 クラス全員分の短冊が掛かった笹。
 その中のどれが私のなんて分からないはず。
 
「あのうっすいピンクいの」

 顔色の変わった私にナツが勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

「…オレは今がいい。これからも二人で変わっていければそれでいい」

 見上げると、はにかんで笑うナツの笑顔があって…

 ちっちゃい頃とあまり変わらない笑顔に、

 胸が高鳴った。



『小さい頃に戻りたい』


読んで頂き、ありがとうございました!
[記事No.335976]Re:短編小説


 joeP9.PU
ID:[avaindream]
PC
投稿日時:07/13 17:24

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記事No.326462への返信
初めまして。僭越ながら参加させていただきます。


『ピエロ』

「私はピエロ。愉快なピエロ。
 さあさ、みんな。よっといで」

ピエロはこの町一番の人気者。
子どもたちはみんなピエロが大好き。
ピエロも子どもたちみんなが大好き。

ところがある日、一人の男がやってきた。
「この町は今日からわたしのものだ」
男はピエロにそういった。

「お前はいらない。早くでていけ」
男はピエロにそういった。
「お願いします。ここにいさせてください」
ピエロは男にそういった。

「だめだ、だめだ。早くでていけ」
「おねがいします、おねがいします」
男はピエロを棒でたたいた。

ピエロは森へとおいだされた。

「私はピエロ。愉快なピエロ。
 さあさ、みんな。よっといで」
誰もいない森のなか。
ピエロは歌う。一人で歌う。

「私はピエロ。おかしなピエロ。
 こんなこともできるのさ」
ピエロは歌う。一人で歌う。

そしてある朝。
ピエロは死んだ。
森のなかで一人で死んだ。

どこかの町のピエロのお話。


……………
何となく童話風に仕上げてみました。
軽くぶっちゃけると、中学校の時に作ったお話なんですけどね。←

…はい、お粗末様でした☆(痛)

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