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森のフォーラム

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Re:短編小説
天p抜刀d竜
[ID:gintama9524]
とても悲しい夢を見た。
起きて、外を歩いた。

静かな闇は彼女を包み、そのまま引き摺り込むでもなく春風で優しく肌を撫でる。この時期は正直あまり外に出ないほうが身のためなのだが、夜は何故かそれらの天敵が牙を向いて来ないと感じた。実に自己中心的な考え方である。
病は気からとも言うが、外出してからくしゃみは一度も出てはいない。
桜の季節にはまだ遠く、寒くはないが暖かさがまだ足りない。梅の花がその白さを黒とも、灰とも言い難い空間で輝かせている。

"これが夢ならまだいいのに"

おぼろ月をまるで小説の主人公のように見上げる。切なげに。背に羽があれば何処かへ飛んでいけたかもしれない。
そう、飛んで行きたかった。ここではない、いや寧ろこの"世界"ではない何処かへ。
ならば何処へ行きたいのかと問われれば、ここ意外としか言いようがない。特定の場所は然もありなん。だが一つに絞ることなど出来はしない。だから、ここではない何処か。
道路を救急車が通り過ぎる。音を鳴らさず静かに走るそれは何処へ向かうのだろう?
歩道を歩いていると何回か人とすれ違った。
一人は未成年とおぼしき若い青年。手にはコンビニの袋。道路側に持っているそれを振り回し、上機嫌に過ぎ去った。
次に疲れた顔をした40代前半っぽい社会人。残業か、時計を気にして足を早める。カバンにキーホルダーが光っていて、それがプリクラをいれるタイプの物だと気付いた。すれ違う時に中身見ると、男女の間に小さな子供が写っていた。
ボーッと歩いていると道路の脇を自転車が物凄い速さで駆け抜けた。本当に物凄い速さなのだ。多分、人の出せる最速かもしれない。だが急いでるわけでもないようだ。その人は後ろと前を確認すると大きな道路の真ん中まで移動して旋回した。その顔は笑っていた。とても幸せそうに。
ふと、前を見ると80を過ぎているであろうお婆さんが、旋回自転車を避難する目で見ていた。心配からか、常識的に見てか。
時間を見ると、運悪く目を覚ました子供は親の布団に潜り込む丑三つ時。そろそろ帰った方がいいだろう。明日は7時には起きなければならない。
布団に入って眠れば、またあの夢を見るのだろう。
きっと苦しませたいわけじゃない。泣かせたいわけじゃない。けど、あまりに悲しい夢だった。
夢にまでみた夢だった。



夢を見た
大好きな人たちに囲まれる夢
触れることすら叶わなかった人たちに触れ
語りかけることすら叶わない人たちと笑い合う
楽しくて、切ない夢

『深夜帯散歩』

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