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森のフォーラム

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Re:短編小説

[ID:ayu1126]


両腕をとられ、足を引きずるようにして歩く
向かうのは、処刑台までの道
部下を裏切り、上官を欺き、滅却すべき敵を逃がそうとした自分を、許すものなど居はしない
それが、どんなに愛しい子であっても
どんなに自分が愛した存在でも

囚われた可哀想なあの子は、また体を無粋な刃物で暴かれるのだろうか
戦争のための道具として、望みのしない施術を受けるのだろうか
無力な自分には、どうすることもできない
所詮人間なんて小さな存在だ
あの子を守るために国と戦うなんて、一人では到底無理だったのだ

涙も涸れ果て、表情すら作れない
あの子との約束を守れなかった自分に、歯痒さを覚える
守ると、約束したのに

所定の場所に膝をつき、はるか後方で元同僚が銃を構える音を聴く
多分、苦々しい顔をしているんだろう
意地の悪い上官の命で、士官生時代からの友の頭を撃ち抜くのだ
嫌な役回りをさせてしまった

自嘲気味に笑い、謝罪の言葉を小さく呟く
そして、感謝の言葉も
誰だかわからない処刑人に殺されるよりは、信頼足り得る親友の手にかかる方がいい
本人には申し訳ないが

思い残すことは、愛しいあの子のことだけだ
どうすることもできないが、せめて、あの子が少しでも幸せに生きられるように
そう願って、目を閉じる

引き金に、指が、









「一緒に逃げよう」







真っ白な羽が舞った
親友の手の中の銃が、純白の砂となって崩れ落ちる
柔らかい羽毛に包まれ、眩しさに目を細める
つよいかぜを感じた

はるか眼下にあわてふためく人影と、呆けたようにこちらを見ている親友がいた
純白の翼を広げた愛しいあの子は、キュゥ、と高い声で鳴く
その広い背に体を預け、青い空と白銀の雲海を、網膜に焼き付けた



「逃げよう、誰もいないところへ」



愛しいあの子の背にのって
どこまでも、空を



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本館サイトの創作
ラストはこんな逃避行にしたい

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