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森のフォーラム

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Re:Re:短編小説
しの
[ID:mikiyuu08]

 ほかほかと湯気をたててそこに置かれた、ふわふわのオムライス。それは少年にとって、些細な幸せだった。最近うまく使えるようになったスプーンを握り、一口大の大きさに分ける。とろり、半熟の黄色い卵が赤いケチャップライスにかかるのを見つめる。匂いにつられて自然と頬が緩んでしまうのも、仕方のないことだ。
「いただきます」
 言い忘れていた感謝の言葉を慌てて同居人に告げ、少年はスプーンを口へと運ぶ。口の中に広がる、ケチャップとふわふわの卵。小さな手は、思わず頬を抑えている。あまりにおいしいものを食べた時、ほっぺが落ちてしまうのだと時折この家に来る真っ白な男が言っていたことを思い出したのだ。
「おいしい?」
「ん」
 同居人の問いかけに力強くうなずくと、エプロンを外した彼はへにゃりと笑って、「よかった」と呟いた。自分用の皿を子どもの向かい側に置き、座る。白い男が買ってきた椅子は、どちらの足もまだつかないくらいに背の高いものだった。ぶらぶらと少年の足が揺れる。
「こら、お行儀が悪いよ」
 笑顔が少し困り顔になって、少年を窘める。そんな些細なやりとりでさえ、2人は幸せだった。
「    」
 上機嫌で同居人の名前を呼んだ。普段の大人っぽさはどこへ行ったのか、年相応の表情でオムライスを頬張っている同居人、その青年は、スプーンを口に咥えたまま首を傾げた。
「きょうも、おいしい。おいしいごはんを、ありがとう」
 まっすぐ、目を見て感謝の気持ちを精一杯の言葉にのせて伝えてくれる自分の弟のような同居人に、青年は愛おしさを感じていた。自分が守ってやらなくてはと、決心した。



青年は12歳、少年はまだ5歳だ。白い男が帰ってこない今、社会から見ればどちらも保護されるべき子どもたちは、とあるアパートの一角で、ひっそりと2人ぼっちで暮らしている。

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