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Re:短編小説
夏子
[ID:578511b]
久々の参加です^^
「(変な顔されないかな)」
特別近くも遠くもない、ななめふたつ前の席。わたしと君の関係にそっくりだからやんなっちゃう。
「(おはよ、って言いたいな…)」
帰り道に寄ったコンビニで、春の新色とやらを買ってちょっといい気になる。
ただでさえマニキュアは校則違反だから、こんな派手なピンクは付けられないけど。
家に帰ってこっそりと左の小指だけ春色に染めてみたら、思っていたよりもずっと良くて、なんだか無敵になれた気がした。
調子に乗って、お姉ちゃんのグロスを拝借して唇にデコレーションする。
駅前看板のかわいい女の子みたいにちょっと唇をつきだしてウインクしてみたけど、鏡に映ったのはわたしだったから、恥ずかしくなってグロスはすぐに落とした。
ななめふたつ前の彼は、わたしが昨日よりちょっとだけ春らしいことも知らずに、今日も友達と楽しそうに笑ってる。当たり前だけど。
突然に。
振り向いた彼と一瞬間、目があった。
心臓がぎゅうって締め付けられた。
締め付けられて小さくなってそのまま消えちゃうんじゃないかな!
でも彼はすぐに前を向いて友達とのお喋りに戻る。
小さくなった心臓は呼吸と一緒に少しずつ元の大きさに戻っていくけど、まだどきどきしてた。
誰にも気づかれないように、春に口づける。少し勇気づけられたけど、昨日みたいに無敵にはなれなかった。
まだおはようも言えてないのに。
すぐに、夏がくる。
スペースありがとうございました
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