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森のフォーラム

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Re:Re:短編小説
虎縞
[ID:tigerhalfowl]
常連客として、主さまに応えてみます。と言うか、虎縞は病的な偏愛が好きなのです。とは言っても内容がヤバいので、まずかったら削除して下さい。

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

 姉が死んだのは、姉が二十一歳の時だった。俺は十三歳だった。世界が、真っ暗になった。
 姉は正しく俺の太陽だった。髪が長くて、肌が白くて、綺麗な姉ちゃんだと皆に誉められた。年が離れていたからいつも子供扱いされていたけど、その分俺の前では無防備で、俺はそんな姉の姿に暗い感情を覚えた。姉は、子供だと思っていた俺にそんな感情があるのだとは思いもしなかったろう。だが俺は感情を芽生えさせ、それは大きく育ち、行き場が無くなると先端から発露した。姉がいなくなった後も、姉の白い肌思い出す度、夜に密かに発露をした。
 姉は飛び降り自殺だった。華奢な姉の体が、見る影もなく歪んでいた。それすら糧に俺の暗い感情は発露を促した。
 やがて俺は二十一歳になり、姉と同じ大学に進んだ。
 俺は校舎の九階にある灰皿のもとに行った。
「助教授」
「お?や、司君」
 今でこそ奴は助教授になったが、姉が死んだ当時は一介の講師だった。姉は奴に振られたのを気に病んで死んだ。この喫煙所の窓からだ。
「今日、俺の姉ちゃんが死んだのと同じ日なんですよ」
「何だって?」
「姉ちゃんが死んだのが二十一年と三カ月と八日目。俺の人生が今日、二十一年と三カ月と八日目です」
「……運命的だね」
「……俺の姉ちゃん、七海って言うんですよ」
「へぇ」
「覚えありませんか?」
「……いいや」
 その答えに、カッと熱くなった。
 感触はよく覚えていない。のた打つのも止め、静かになったのにふと気が付いて、鞄に用意していた得物を、奴だったとおぼしき物が転がる床に投げ捨てた。
 俺は鞄から、もう一つ用意していた得物を取り出した。空の注射器だった。
 宙でそのピストンを引いた。俺は左手を握り締めて、青く浮いた血管に針を刺した。そのままゆっくりと、ピストンを押す。注射器を投げ捨て、俺は開いている窓から飛び出した。当然床など無く、引力に導かれるようにして落下した。
 姉の生きた時間を追い抜かすなど、俺には出来ない。姉が太陽なら、俺は月だ。月は太陽が無ければ、光を返す事も出来ないのだから。

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