forestpage

】さんのロビー
ロビーに戻る 新しいHPを作成 フォレストID設定変更 フォレストサービスを利用する ログアウト

森のフォーラム

フォーラム違反連絡

以下の質問内容について「ルール」に反していると思われる部分を選んで下さい。
ご連絡いただいた内容が、弊社以外の第三者に伝わることはありません。

Re:短編小説
城平ろくむ
[ID:ranean]

前のスレに投稿したものですが、再度投稿します




『岐路』


旅人が道を歩いている。
轍がかすかに残っているだけの道。両側には背の高さほどもある草がずっと生えていて、先がまったく見えない。

どれだけ歩いただろうか。
旅人は道からそれないよう、注意深く足元を見続けていた。
ふと目を上げると、汚らしい身なりの少女がひとり、旅人を見ていた。
「こんにちは」
少女は旅人に微笑みかける。その顔は薄汚れてはいたが、元は随分と可愛らしいように思えた。
「こんにちは。お嬢さんひとりかい?」
「えぇ。どちらに行くか迷ってて」
少女が指差す方を見ると、うっすらとだがどうやら道がふたつに分かれているらしかった。
「一緒に来た人はみんな、どちらかを選んで行ってしまったの。私がここにいる間にも、たくさんの人が行ってしまった…」
少女は今にも泣きそうになる。
「寂しいのかい?」
旅人が尋ねる。よく見ると、少女の後ろには、少女がここにしばらく滞在している事の証拠があった。
「違うと言えば嘘になるわ。あなたもすぐに行ってしまうのでしょう?」
少女に言われた旅人は悲しげに微笑む。
「進む事が僕の目的だからね。お嬢さんはどうしたいんだい?ひとりでずっとこんな場所にいられないだろう?」
旅人の言葉を聞いた少女は、ますますうつむいてしまう。
「どちらかの道を選んだとしても、きっと私は後悔してしまう。先にわかっているのだから、私には選べないの。だから…」
旅人は悲しげな微笑みに哀しみを混ぜて、少女を見つめる。
「僕は何も言わないよ。決めるのは全部、お嬢さん自身なのだから。明日、僕は右の道を進む事にする。それまでは一緒にいても良いかい?」
「はい!」
旅人の言葉に少女の目が輝いた。


次の日、旅人は少女に別れを告げてそこから旅立った。
「道の先が分かったら、いつか戻ってきて私に教えてください」
少女はそう言っていたけれど、旅人はきっと戻らないだろうと考えていた。
少女自身も、いつかはあの場所から旅立つだろう。


――道を進まなければ、人は死んだも同じなのだから。


・+・+・


また、できれば参加したいです
ありがとうございました

もっとも当てはまる一つを選択して下さい。


フォレストID ※必須




戻る