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森のフォーラム

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Re:短編小説

[ID:ayu1126]
折れた両腕をぶら下げた彼女は、地面に這いつくばるようにして舌で筆を掬い、尖った犬歯でガリリと噛んだ
足で器用にチューブ絵の具のふたを開け、服の裾を汚しながらパレットに色をのせる
彼女は噛みしめた筆に絵の具を絡ませ、マーブル模様の確かな線を、目の前の白い壁に塗りたくった
自分が彼女を呼ぶ声は、既に彼女の耳には届いていない
批判も、揶揄も、憐れむ声も、自分の息遣いさえ、彼女の耳には入らない

腕くらいくれてやる

そう言って両の手を差し出した彼女を、周囲は憐れみ敬遠した
彼女の苦しみも、背負っているものも知らないくせに
彼女がどんな思いで両手を差し出したかなんて、知りもしないくせに
才能ゆえに、あの子はおかしいんだと
才能ゆえに、普通の子じゃないんだと
なにも知らないくせに

口元から唾液がこぼれ落ち、彼女の胸元を濡らす
噛みしめたさいに口内を傷付けたのか、赤混じりの唾液が白いシャツを汚した
それでも彼女は描くことを止めない
唾液を拭おうともしない
裾や足や顔が汚れても気にも留めない
彼女の目は、真っ白な空間だけを見ていた


「部長さん」


届かないと、わかっているけど、
それでも自分は



_______________

部長さんはわけあり

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