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森のフォーラム

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Re:短編小説
天p抜刀d竜
[ID:gintama9524]
「大丈夫だよ」、と微笑んだ彼女はもう
"駄目だ"とわかっていたんだろう。

『私ね、治ったら海に行くんだ』

『おーいサラッと死亡フラグ立ててんじゃねぇよ』

べしんっと持っていた雑誌で軽く叩くと一瞬頬を膨らませる。だがすぐに笑顔が返ってくる。

『別にね、海じゃなくてもいいの
遊園地とか、水族館とか…ううん、買い物に行くだけでもいいの
外を二人で歩くのが私の今の夢』

『夢ならもっとでっかく持てよ…
なんかさ、金持ちになるとか』

『成金、お金の亡者』

『うっせ』

他愛もないこの会話こそが夢への、彼女の望む世界への一歩となる。そう信じて他愛もない話をしながら、彼女と笑い続けた。

『そんな所いつでも連れてってやるよ
なんなら海外まで飛ばしてやるぜ?』

『本当ッ?!
私北極でシロクマ見たい!!』

『俺の予想遥か斜め後ろ行ったな』

苦笑する俺に彼女は本気だ、と雑誌を取り上げかなり本気で叩いてきた。これだけ元気があれば大丈夫だな、なんて…彼女自身の言葉にも安心しきっていた俺。

これからもずっと、同じ様な日常が続くなんて、どこにそんな確証があったんだろう。

俺の浅はかな願いも虚しく、海に来たもやることは無し。一人では潮風も目にくるだけだ。

"出来れば一歩でも外を歩かせたかった"

なんで彼女があんなに苦しまなければ、なんて思うのは身勝手だろうか?

"最期…恐かったのかな……"

バイトなんてやってる間にサックリと逝きやがった。俺は話す間すら無く逝かれてしまったのだ。

"北極行きたいっつーから、幾らか知らんけどシフト固めたってのに"

調べたら結局庶民には手が出せないような場所だった上、一緒に行く相手すらいなくなってしまったのだから清々しすぎて笑えてくる。

「だから死亡フラグ立てんなっつったろ」

一言を馬鹿にすることなかれ、ということだ。
一人で眺める海は目に痛かった。………いや、一人ではない…かもしれない。

「"現実から目を背けたら負けだよ"」

「幻聴が聞こえるなー…」

誰か、この状況を説明できる人がいるのなら教えてほしい。
彼女の葬儀で泣かなかった俺は非道なのか?隣にうっすら彼女が立っていたら泣く子も黙らないか?
嬉しさ込み上げるも恐怖その倍。

「"次は遊園地ね"」

「お前少しは俺の心境読み取れ」

恐怖その倍…だけど、苦笑も笑顔に変える力が彼女にはあった。

End.

ナニコレw

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