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森のフォーラム

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Re:短編小説
りおん
[ID:elwa]



「ねぇ、何を読んでるの?」
そんな上からの声で、僕は数十分ぶりに顔を上げた。
見ると、薄茶色の瞳がこちらを覗き込んでいるところだった。僕は、素早く手に持っていた本を右によける。
「なんでもいいじゃん、何読んでるかなんて」
「わかってないなぁ、会話のきっかけってやつでしょ。隠さなくても別に気にしないわよ」
覗き込んできた彼女は、軽く呆れたようにそう言って、僕の隣に陣取った。彼女が本になんて興味がないのは知っているけれど、それでもやっぱり数センチ見えない位置に移動させる。東の方から吹いてきた風が、髪を巻き込んで踊ってから通り過ぎていく。
「ていうか、なんであんた屋上まで来て本読んでんの? 教室でいいじゃん」
「紗文(さあや)には関係ない」
そっけなく返すと、彼女ーー紗文は、ああそう、と同じくそっけない返事をした。さらさらの髪をセミロングにした紗文は、クラスでもよく目立つ方で、文化祭の実行委員なんかも普通にこなしてしまうような奴だ。その上顔立ちもそれなりに整っていて、男子にも結構人気があるのを僕は知っている。幼馴染みじゃなかったら、僕なんかは顔も覚えられずに終わってしまっていたのだろうなあと思う。
「なに? なんか文句あんの?」
紗文の方を見ていきなり黙った僕を訝ったのか、紗文が軽く睨んでくる。
「べ、べつに」
「変な奴」
紗文はそう言ったけれど、特別気分を害した様子はない。
「紗文こそ何してんの。こんなトコで」
「なんとなく。今日晴れてるし、屋上気持ち良さそうじゃん」
「…紗文も別に理由ないんじゃん」
「私は屋上まで読書しには来ないわよ」
紗文はそう言って、んー、と気持ち良さそうに両腕を伸ばす。僕は、右手に持っていた本を数センチ遠ざけて、少しだけ身体を動かした。
「うん、良いねここ。昼休み終わるまでここにいよっか」
「……それ、僕も含まれてるの?」
「なに、私の隣嫌なの?」
「……まあ、別にいいけど」
「じゃあいいよね、邪魔しないでね」
紗文は、僕の返答には興味なさそうに、そのまま空を仰ぐ。僕も、気付かれない程度に彼女を盗み見てから、空を仰いだ。
空は青く高く透き通っていて、ぬるいくらいの陽射しが陽だまりに落ちていた。
たまにはこんな日も悪くないかな、と少しだけ思った。

end.



+++++++++++++++
特に何の考えもなしに書いてしまいました…。なんでしょう、これ。

参加失礼しました。

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