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Re:短編小説
天p抜刀d竜
[ID:gintama9524]
『少年少女前を向け』
小学五年生の烏合に一体何ができると云うのか。
密閉空間に差した光は極微量なもので、さらに言えばとても薄く、幼児が這えば潜れるか否かの隙間だった。
現代科学の防災が仇となり、誤差動で防火シャッターが閉まった空間は密閉とは言えない。何故なら本来ならば何も物を置いてはならない筈のその場所に、ゴミ箱が置き忘れられたかのように佇んでいたのだ。今ではシャッターの勢いに半分が潰れてはいるが、それだけでも立派に役目を果たしていた。
期間限定の夜中の水族館。楽しみに来た筈のお客達は若干薄まる空気に怯え、係員も何度も無線を通して救助を求めたが、その区画は前々より電波が悪いと言われている場所だった。
「こうなったら…お子さん達に託しましょう」
係員は30cmほどの隙間に目を向けていった。夜の開園とはいえやはり水族館、小学生ほどの小さな子供がいくらかいる。
その子らに外へ出てもらい、救助を求めてもらうのだ。
だが夜の水族館は暗く不気味で、両親がいるからまだウキウキと見ていられるものの、子供だけとなると広い暗闇に歩き出すのは勇気がいった。
「頑張って!」
「頑張れ!大丈夫だ!!」
「お願い!頑張って!!」
10人もいない子供達は大人達に抱き締められ、背を押された。
シャッターを潜り抜けると一気に暗闇が視界を占める。後退り、互いに握り絞めていた手に力を入れ。
一歩一歩と確実に歩き出す。見える光は非常口の緑だけ。ライトアップされた魚が不気味に揺らぎ、ドンッと水槽に当たる音に女の子が悲鳴を上げた。
後ろから「どうしたっ?!大丈夫か?!」と声が聞こえてくる。振り返れば、大人達は僅かな隙間からこちらを伺い、心配そうに見詰めていた。
一人の男の子が泣きじゃくる女の子の頭を撫でて、「だいじょうぶ」と声をかける。
「おれ、ハリケンジャーだから
怖いやつが来たら追い払ってやるよ!!」
「こんなのただの魚じゃん!」
ドンッ!ガンッ!
「「「「ぎゃあっ!」」」」
時々悲鳴が上がるも確実に前へと進む。だがなにぶん子供の足に水族館は広い。
ふと、一人の男の子が緑色の光に浮かぶ『スタッフルーム』の文字に足を止めた。
「どうした?」
「あそこに水族館の人がいるんじゃないかな…」
じぃ…と眺める子供達。が、突如その扉は開いた。
ガチャッ
「っぎゃぁぁああああああああああ!!!!」
「うわっ?!な、なんだ君達?!」
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