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森のフォーラム

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Re:短編小説
天p抜刀d竜
[ID:gintama9524]
その昔、人は人を支え生きたと云う。
だが現代とは如何様なものか?
転けた人間を嘲笑い、人の失敗を悦び、挙句自らが手を加え堕として上よりそれを眺める始末。
そんな現代、目の前の光景はとても珍しいものに写った。
たった、道に落ちた俺の携帯を女の人が拾っていたのだ。
その分ならまだ"ああ中身見んのかな"と思う程度だった。女の方も辺りを見回して(俺はその時何故か隠れた)誰もいない事を確認すると、カチリとタブレット型のそれのボタンを押した。因みにロックはかかってない。何故ならストラップが洒落にならない程、それはもう何の恨みがあってもおかしくないくらいに鬼付けてあるのだ。そんな重力の物をよく落とせたと、我ながら感動すら憶える。
で、女の話に戻るが、女はボタンを押してロックがかかってないのを見ると画面をロックする程度の機能を解除しようとした。まぁそうしなければ中身が見れないのだから当たり前だ。

"そろそろ頃合いか・・"

中身には一般人にはあまり見られたくないものもある。どんな物かは企業秘密ということで。
なによに何故俺は隠れているのか。そんなことを思いながら出て行こうとしたら、女の手が止まった。俺の足も止まる。
女は暫くそのまま携帯を見ていたのだが、最終的にロックは解除せず、中身も見ること無く電源を落とした。
そしてあろうことか近くにあった、マンションの囲いの役割を果たす小さな木の並びの上に自分のハンドタオルを敷き、その上にそっと置いたのだ。優しくまるで壊れ物でも扱うかのように。
いや、確かに壊れ物と言われればそうだが、そんなに柔でもないし。それにしても優し気だったのだ。
女は満足そうに頷くとその場を去った。
ちょうどまるで棚のようにそこにある木々。そんな緑の中に映えるオレンジ色の生地と、その上にずっしり居座るスマートフォン(主にストラップ)。

「…返した方が、いいよなぁ?」

女物のハンドタオルを手にしながら呟く俺のなんと不振なこと。だが俺には気にならない。大方、頭を占めるのは"このままここに置いておいたら飛んでしまうのでは"とか、"ならラッピングでも施したほうがいいだろうか?"とか…なかなか自分らしくもない。
足元が数ミリ浮いていてもなんら可笑しくはないテンションで帰路についた。これから、ラッピングにつかう袋選びに外へでよう。


『人はとても捨てたもんじゃない』

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