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Re:短編小説
桔梗
[ID:ayakikyou]
はじめまして。
参加させてください。
七月なので、七夕モチーフに…。
『願い』
「何書く?」
「え? お金もちになりたいとか?」
「夢がないなー」
私は楽しそうにはしゃぐ皆の声を聞きながら、机の上の短冊とにらめっこする。
手には黒のサインペン。
うす桃色の細長い紙が、なんだか恨めしい。
私はため息をつくと、短冊から目を逸らした。
その視線は自然と、ある所へ向かう。
窓際の列の前から三番目。
幼なじみのナツの席。
奴は最近妙に男っぽくなっちゃって…女の子達にキャーキャー言われるようになって来た。
なんだか気に入らない。
なんだか広くなっちゃった背中も。
なんだか逞しくなってきた腕も。
見上げなくちゃ見れなくなった顔も。
「…気に入らない…」
ナツの後ろ姿にガンを飛ばしながら、呟く。
私はクルクルと手で回していたサインペンを持ち直すと、短冊にキュッと音を響かせながら、『願い事』を書き込んだ。
「なぁ。あれどういう意味だ?」
頬杖をついて窓の外を眺める私に、ナツが話し掛けてきた。
「何?」
ナツを見上げる私に、ナツはベランダに取り付けられた笹を指差す。
「短冊。あの字、綾の字だろ?」
「…どれが?」
クラス全員分の短冊が掛かった笹。
その中のどれが私のなんて分からないはず。
「あのうっすいピンクいの」
顔色の変わった私にナツが勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「…オレは今がいい。これからも二人で変わっていければそれでいい」
見上げると、はにかんで笑うナツの笑顔があって…
ちっちゃい頃とあまり変わらない笑顔に、
胸が高鳴った。
『小さい頃に戻りたい』
読んで頂き、ありがとうございました!
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