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森のフォーラム

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Re:短編小説
未来
[ID:hakuduki]
「進路先とか知らんがな!」
「それこそ知らねぇよ」
いつものように俺の部屋に遊びに来たあいつは、突然そう叫んで持参してきた紙や本を空中に投げた。ばっさーと舞った紙と本。それ等は、あいつの後ろで黙々と本を読んでいた俺の頭に、ヒットした。オイコラ。あいつが言い訳しようと目を泳がせていたが、無視して俺はあいつの頭に拳を叩き込んだ。
「いっだ! ちょ、不可抗力!」
「本を投げた時点でてめぇは死刑だ」「鬼っ!」
いや、今のはあいつに非がある。今あいつが投げたのは、全国の私立都立高校が紹介されてる分厚い本で、命中したのは角。睨み付けながらそう訴えると、土下座された。
というやり取りまではいつも通り。
俺等はいつも共に居るし、学校が終わった放課後はお互い所属部活が無い故、俺の家に遊びに来る。
それだけなら、恋仲に見えるかもしれないが、残念ながらただの幼なじみである。いや、悪友とでも言うのか。そんな俺等に変化。
俺はため息をついて、ぐしゃぐしゃになって床に転がっていた紙を拾い上げた。それに書かれているのは「…進路希望調査」そしてそれは真っ白である。
「何だよ…まだ決まってねぇのかよ」進路先。
呆れて呟くと、あいつは口を尖らせ足を伸ばして床に寝転がった。…アホ面。
「だってさーだってさー将来の夢とか知らないよー決まってないよー」
「…適当に自分の偏差値に合った所行きゃァいいじゃねぇか」
「それでいいと思う?」
…そうだ。こいつは勉強できねぇんだった。何を今更な事を…、
「…悪い。今のは俺が悪かった。そうだよな。お前にあった学校って言うとあれだよな…、」
「え、ちょ、そんな哀れみを込めた目で見て来ないでくれる!? 地味に傷付くよ!! ガラス細工の心嘗めんなよ!!」
「で、
やりてぇ事とかねぇのかよ」
「あたしの全力のギャグを軽くスルーしたアンタを殴りたいけどカウンターされるのが目に見えてるからふて寝したい」
「ああ、つまりニートか」
「いや、ヒモとか」「とことん駄目人間だな社会のゴミだな」「心に500のダメージ」「お前はもう死んでいる」「死んでないわ!」

こうやってくだらないやり取りをして、日が暮れて、飯を食って、今日もあいつは渋々帰っていく。
それは今まで変わらなかったというのに、

あいつが帰った後の自室に寂しさを覚えたのは、これで何回目だ。
───この日常も、あと数ヶ月で終わる。いや、変わる。
1年後には、この日常が懐かしく感じているのだろう。
その1年後が今のように感じて、馬鹿らしく思えて、ため息をつく。自然と視線は下に落ちていく。その時、視界に白い紙が映った。
「…馬鹿だ」馬鹿だ、あいつ。
再びため息が漏れる。その紙はあいつの進路希望調査。おいおい、提出日明日じゃねぇか。あろう事か、あいつは大切な進路希望調査の紙を忘れていったのだ。ああ、馬鹿だ。あいつは馬鹿だ。
本気であいつの人生が心配しながら、仕方なく俺がそれを拾い上げる。そして何度目かのため息をついた時、それをついつい見てしまった。
進路先を記す欄。そこにはあいつの字で、何故か俺の名前と“お嫁さん”
思わず、紙を落としてしまった。…………は?
お嫁さん? 誰のだ? ………俺の?
重い沈黙が部屋を包む中、俺は情けなくその場に座り込んでしまった。そして、ため息。
「…………馬鹿だ。あいつ」

あいつは昔から何も変わってない。

−−−−−−−
短編書くのが苦手な私の特訓。しかし、長い。すみません。

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