【お話小箱/華鬼】鬼と花嫁の日常♪

□桜の木の下で…神無の我が儘
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朝御飯を済ませ
二人が向かったのは…

二人の住む山荘から
かなり遠く、奥まった所だ

草木が生い茂り
人が、殆ど踏み入ってはいない場所だった

引越して間もない頃、二人で散策していて見つけたのだ

華鬼ですら「こんな所があるとは知らなかった」と酷く驚いていた…

生い茂った草木が
ポッカリ、其処だけ刈り取ったかと思う程
一本の木を中心に空間が開けていた

それは、大人二人でも、抱え切れない程の幹の太い立派な桜な木であった

この辺りには、他に桜の木は無かった

たった一本だけ…

誰の目に触れる事無く

それでいて、誰かが来てくれるのを待っていた様にも思えた

季節は、秋もカナリ更けた頃であった

木は、殆ど葉を落としていた


神「立派な木…」
(何だろう…何だか…哀しい…)


神無が、その木を触れながら
表情を曇らせたのを気付いた華鬼は


神無を優しく抱きしめながら聞いた

華「どうした?何か哀しいのか?」

神無は、首を降った

神「ううん…何だか…ワカラナイ…」

華「桜は嫌いか?」

神「ううん…桜は好き…でも…この木は寂しそうだね…」

華「寂しそう?…花が咲いていないからか?」

神「…ワカラナイ…でも…そうかもしれない」

華「それなら…花が咲く頃、又此処へ来よう…」

神「うん…そうだね!花が咲いたら、きっと…すごく綺麗だろうね!」
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